第344話
「みんな考えていることは同じなんだな!」
木嶋は、自分自身で納得するしかなかった。
本屋やコンビニに行けば…雑誌、文庫を《タダ》で読むことが出来る。
どちらも、長時間…立ち読みしていると、店員さんが、嫌な顔をする。
木嶋の家の近くにある商店街の一角に、小さな本屋があったが、立ち読みしていると、店の人が…《はたき》で追い出してしまう。
いつしか…その本屋に人が入らなくなり、最寄り駅に出来た…大きな本屋に潰されてしまったのだ。
インターネットカフェで、《まったり》したい気分だが…
木嶋が、ソファーに座り慣れていないので、直ぐに眠くなってしまうのだ。
最新の雑誌は、コンビニで入手するのが、効率がよい。
本屋には、フロアマップや、タッチパネル式の【検索君】(けんさくくん)がある…。
木嶋の探している雑誌や文庫は、一目瞭然で分かるのだ。
スポーツ文庫のコーナーに着いた。
色んな人が書いている…
どうしても、手に取ってしまうのは…高校野球や社会人野球などからプロ野球に入った選手の本である。
手に取りパラパラと…ページをめくる。
木嶋が、文章を読んでいて…
【これは…最初から読んでみたい】と思えば、本を購入するのであった。
最近は、そういった衝撃的な本に出合う機会が少なく感じている。
野球以外にも、陸上をやっていたので、その関連の本を買うことがある。
スポーツコーナーの棚を、一通り見渡したが、買いたいと思う本が見つからなかった。
コーナーを移動。
ゲーム関連のコーナーに向かった。
ここには、ゲームの攻略本がたくさんあった。
木嶋が、今…プレイしているゲームは、プロ野球のゲームである。
ゲームも、年々(ねんねん)進化をしている。
ありきたりのゲームに飽きも来る。
攻略本を探すも…なかなか見つからない。
どうやら…ここは、ゲーム関連雑誌を取り扱いは少ないらしい。
店員さんに聞くのも、一つの手ではあるが、取り寄せになってしまうと…日にちが掛かってしまう。
「どうしようかな?他の店舗にあるかも知れないな!」そう感じた木嶋は、ゲーム関連コーナーから…週刊誌のある場所に移動した。
ふと…腕時計を見ると…
午後2時30分を過ぎた。
「まだ、時間にゆとりがある。」
はるかと、待ち合わせ時間は、午後3時である。
今から行動しても、横浜のコーヒーショップ『Y』で待たなければならない。
はるかは、時間通りに来る可能性は低い。
「午後3時に出ればいいかな!」
木嶋は、週刊誌のコーナーで、雑誌を取り…読み出していた。
一つのことに集中すると、携帯の着信に気がつかないことも多々(たた)にある。
何となく…携帯の着信履歴を見た。
すると…はるかからの着信があった。
呼び出し音は鳴るようになっている。
「マナーモードになっていないはず…」
携帯を確認すると、マナーモードの設定になっておらず…通常モードになっていた。
呼び出し音が鳴らないとなると…
【電話を掛けて…】と、サインが出ている。
「そろそろ…出るか!」 雑誌を元の場所に戻し、エスカレーターで下りて行く。
駅と直結しているので、1Fまで下りなくてもいいのである。
最寄り駅の改札に向かったのであった。