第335話
「え〜そうなんですか?もう少し…詳しく教えて戴けませんか!」ちさとさんは、はるかに伝えた。
はるかは、
「詳しく教えてと言われてもね…」困り果てた顔で、木嶋に振り向いていた。
木嶋は、まだ…気づいていない様子である。
「一言で言えば…《したたか》だと思います。長い年月…夜の世界で生きていただけのことがありますよ!」ちさとさんを説得するような話し方をしたのだ。
ちさとさんは、
「世渡り上手ってなりますよね?」今度は、木嶋に話しを振った。
木嶋は、
「ちさとさんが言うとおりだと思うね!」ちさとさんに答えた。
はるかは、
「麻美さんは、どんなことをしてでも、自分に振り向かせることをしますよ!私も、木嶋さんを取られそうになりましたよ!」ちさとさんに伝えた。
木嶋は、首を縦に振った。
ちさとさんは、
「えぇ〜そうなんですか?私には…そんな《マネ》は出来ません!先日…木嶋さんにも話したのですが、麻美さん…今月いっぱいで、今のお店を辞めるのです!」はるかに話したのだ。
はるかは、
「また…ですか?」ちさとさんに告げた。
ちさとさんは、
「何で…また…なのですか?」はるかに尋ねた。
はるかは、
「麻美さんは、色んなお店を点々(てんてん)としているので、正直…一度や二度ではないのです。辞めるたびに…私は、ため息が出てしまいます!」ちさとさんに伝えた。
ちさとさんは、
「木嶋さん、今…はるかさんが言われたことは…本当ですか?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「嘘ではありません!全て事実です!」ちさとさんに答えた。
ちさとさんは、
「木嶋さんの知っている限りいいので教えて下さい!」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「麻美さんのクラブ『U』で話しましたが、店を変えるたびに、富高さんと一緒に飲みに行きます。そのことは、はるかさんに話しています。ちさとさんは、何か…他の話しは聞いていないのですか?」ちさとさんに問いかけていた。
ちさとさんは、
「他の話し…って…何ですか?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「自分の店を立ち上げるって…そのことは聞いていないのかな?」ちさとさんに話したのだ。
ちさとさんは、
「えっ…そうなんですか?」
「そうですよ!はるかさんも、自分の立ち上げる店に来ないか?と誘いの話しを受けたよ!」木嶋は、ちさとさんに答えた。
はるかは、
「えっ…そうなの?そんな話し…私は、一度も聞いたことないよ!」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「そりゃあ…そうですよ!麻美さん、自分に、はるかさんの携帯番号を教えて…とお願いされたよ!」はるかに話したのだ。
はるかは、
「私の携帯電話を教えたの?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「まさか…個人情報ですから、本人の同意なしに教えられません!」はるかに伝えた。
はるかは、
「優しいね!守ってくれてありがとうございます!」木嶋に答えた。
「当然のことをしたまでです。」木嶋は、自慢げに話しをしていた。
ちさとさんは、
「はるかさん、可愛いですからね!麻美さんのお店で働くのですか?」はるかに尋ねた。
はるかは、
「いつかは…夜の世界に戻りたい気持ちはありますよ!」木嶋は、その言葉を聞いた瞬間…
【マジかよ】ため息を漏らすことしか出来なかった。
続けて…
「働くにしても…麻美さんのお店で働く気持ちはありません!」ハッキリと断言した。
木嶋は、
【ホッ…と】
胸を撫で下ろしていた。