第333話
そのコーヒーショップも…
時代の流れに乗れずに、淘汰されて行く運命にあったのだ
木嶋は、現実を見たときに…
「胸が張り裂けそう…。」そんな思いに駆られていた。
「実は…はるかさんに相談があるんだ…聞いてくれるかな?」木嶋は、はるかに重い口調で、語り始めた。
はるかは、
「何の相談ですか?」目を、《キラキラ》輝かせ…興味本位を隠せず身を乗り出して聞こうとしていた。
木嶋は、
「とても…言いにくいのですが、麻美さんの店にいる…若い女性が、はるかさんに、会いたいと言っているのですが…会って頂けませんか?」はるかに尋ねていた。
はるかは、
「私に会いたいなんて…木嶋さん、冗談を言うのが上手ですね!何かの間違いではないですか?」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「いや…そうでもないですよ!その女性は偶然にも、今、この横浜駅周辺にいると…先ほど、電話がありました。」はるかに答えた。
はるかは、
「へぇ〜そうなんですか?木嶋さん、私以外の女性がいるなんて…初めて聞きました。可愛いのですか?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「はるかさん以外の人は興味がないと話しましたが、麻美さんのクラブ『U』に行って飲んだとき…話しが盛り上がり、連絡先を交換したのです。可愛いかと聞かれると…ごく普通だと思います。」はるかに断言した。
はるかは、
「どうしようかな…?麻美さんのクラブ『U』の女性となるとね…精神的に受け止めたくないのが本音ですね。久しぶりのデートを壊されるのが、嫌な雰囲気になりますね!」木嶋に話し、続けざまに…
「今回だけと言う…限定なら、会ってみたいなと思っています。木嶋さんは大丈夫ですか?」伝えた。
木嶋は、
「大丈夫って…どういう意味かな?」心に動揺あるのか…言葉が震えていた。
「木嶋さん、言葉がモツれていますよ!」はるかは、木嶋に指摘した。
木嶋は、緊張をすると…言葉が出てこない。
陸上の大会当日も…
心臓の鼓動が
《ドクン、ドクン》と高ぶっている。
それと、全く同じ状況である。
はるかは、
「じゃあ…今から電話することは出来るのですか?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「うん。電話をすることは可能です。電話していいの?」はるかに確認をした。
はるかは、頷いた。
木嶋は、それを見て…
ちさとさんに電話を掛けた。
「プッ、プッ、プッ、プルー」呼び出している。
ちさとさんが電話に出た。
「もしもし…ちさとですが…」
「木嶋です。ちさとさん、まだ横浜駅周辺にいるのですか?」木嶋が、ちさとさんに尋ねていた。
ちさとさんは、
「まだ、横浜駅周辺にいますよ!」
「それなら、今から言う場所に来ることが出来ますか?」木嶋は、ちさとさんに聞いていた。
ちさとさんは、
「駅周辺なら分かります。」木嶋に答えた。
木嶋は、
「5番街にあります…ファーストフード店の反対側にコーヒーショップ『Y』と言う店があるので、店の前に着いたら電話を下さい。」ちさとさんに告げた。
ちさとさんは、
「コーヒーショップ『Y』ですね!判りました。これから向かいます!」木嶋との会話を終え、電話を切ったのだ。
木嶋は、はるかの優しさが気になっていた。
「あとで、強烈な…《しっぺ返し》が来そうで怖いな!」
図らずも…その予感が的中するとは、考えてもいなかった。