第324話
「回答に悩むと…言うことは、断る確率も高い!って訳だね。そう…認識していいよね!」木嶋は、大森さんに聞いたのだ。
大森さんは、口ごもりながらも…
「可能性で言えば、50/50ですね。」木嶋に答えたのだ。
大森さんの悪い癖は、都合が悪くなると、口ごもってしまう。
木嶋も、《ダンボの耳》のように…大きくしているが、肝心な部分を聞き漏らしてしまうのだ。
富高さんは、
「木嶋君、何か…良くない話しがあるんだよね?」木嶋に問いかけていた。
「あっ…富高さん、すいません。大森さんを追及していて、危うく忘れるところでした。実は、麻美さんのことなんですが…。」木嶋は、頭をかきながら…富高さんに話したのだ。
富高さんは、
「やっぱり…その話しなんだ。そうだと思ったんだ。はるかさんは、もう就職しているが、麻美さん以外、思い当たりがないからね。いつ辞めるのかな?」悟りを開いたように、木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「今月中らしいよ!」
「随分、急な話しだね!誰が教えてくれたの?」富高さんが、木嶋に答えを求めていた。
木嶋は、
「ちさとさんです。麻美さんが、辞めるのは…日常茶飯事。毎回だからね。」富高さんにボヤくしかないのだ。
富高さんは、
「麻美さんは、長く…1カ所に落ち着かない人だよね!夜の仕事は、人間関係が複雑だね。《半分…イヤ》なんじゃないの?」木嶋に伝えた。
大森さんが、
「そんな人…いるの?」不思議そうな表情で、木嶋を見つめていた。
木嶋は、
「そんなに、僕を睨まないで…」鼻歌を歌うしか…この場を抜け出す方法がなかった。
富高さんは、
「木嶋君が、鼻歌を歌うなんて…珍しいね!」木嶋に告げた。
大森さんも、
「木嶋君が、マイクを握ったことは、何度か…会社の最寄り駅のスナックで聴いたことありますよ!」富高さんに話したのだ。
富高さんは、
「自分も、聴いたことがありますよ!」大森さんに答えていた。
木嶋は、
「小室さんも誘い…みんなで、【カラオケ】を歌いに行きましょう!」大森さん、富高さんに同意を求めた。
富高さん、大森さんも、
「賛成!」って…もろ手を挙げた!
富高さんは、
「木嶋君、話しは戻るが…麻美さんが辞めるから…また、クラブ『U』に飲みに行くのかな?」木嶋に相談した。
木嶋は、
「正直に言うと…麻美さんのお陰で、飲み歩き疲れたね。」富高さんに伝えた。
富高さんは、
「木嶋君が、弱音を吐くなんて…」木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「そう…言いたくなりますよ!」富高さんに答えた。
「ちさとさんとの約束は良いの?」富高さんが、木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「ちさとさんは、あくまでも、麻美さんがクラブ『U』いるから…そうなっただけですよ!」富高さんに伝えたのだ。
「無理もないよね!」富高さんが、納得した顔をしていた。
木嶋は、
「富高さん、念のため…クラブ『U』の話しは、思案して下さい。」富高さんに告げた。
富高さんは、
「検討します。」木嶋に答えた。
昼休みが終わる…5分前の予鈴のチャイムが、
「キーン、コーン、カーン、コーン」工場内に鳴り響いていた。
「木嶋君、現場に戻るからね!」富高さんは、木嶋に話し、
「仕事が終わったら、最終回答を聞きますね。」木嶋は、富高さんに答えたのだった。