第320話
ちさとさんは、
「私は、少しでも…長くいてほしいですが、そうも…いきませんよね?」木嶋に問いかけるように尋ねていた。
木嶋は、
「自分たちも、クラブ『U』に長く居たいのですが、富高さんと一緒に、最終電車に乗り遅れたら、大変ですからね!」ちさとさんを諭すように告げたのだ。
麻美は、
「木嶋君、何時ぐらいにここを出るのが、ベストなのかな?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「あと…30分ぐらいしたら、ここを出て行きたいと思っています。富高さんも、それで良いかな?」富高さんに聞いていた。
富高さんは、
「最終電車などに関しては、木嶋君に一任しますよ!自分は、言われた通りに行動するしかないので…」木嶋に答えたのだ。
富高さんも、木嶋も、本音は、時間を忘れて飲み明かしたい。
しかし…今、飲んでいる場所は、同じ横浜市内でも…
はるかが、アルバイトをしていた…横浜駅周辺ではない。
横浜スタジアムのある関内駅。
駅まで歩く距離があるのも、抵抗感を覚えていた。
麻美は、
「午後11時に、会計でいいかな?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「そうしてくれますか!」麻美に話したのだ。
ちさとさんは、
「富高さん、大分酔っているみたいですが…無事に、船橋まで…帰るのですか…?もし、少しでも不安があるなら、一晩…朝まで、【オールナイト】で付き合いますが、どうでしょうか?」不安な表情を見せながら、富高さんに伝えた。
富高さんは、
「ちさとさんに、迷惑を掛けたくないので、無事に帰れると思います!最終電車の時間は、今、木嶋君が調べたはずですよ…。」ちさとさんに告げた。
ちさとさんは、
「えっ?富高さんは、携帯を持っていないのですか?」真剣な眼差しで、富高さんに聞いていた。
富高さんは、
「自分は、携帯を持っていないんですよ!持っていると、何か…拘束されそうで…それが、嫌なのです。」ちさとさんに答えた。
麻美さんは、
「私も、富高さんと、個人的に連絡を取ってみたいと思うときがありますが、教えて戴いた番号が自宅なので、さすがに電話をすることが不可能ですからね。どうしても、話したいことがあるときは、木嶋君の携帯に、電話か?メールをするのです!」ちさとさんに伝えた。
ちさとさんは、
「それって…面倒臭くなりませんか?」麻美に聞いていた。
麻美は、
「確かに、手間が掛かると言えば、そう感じるよね!長く付き合っていると…それが、当たり前になっていくの!ねっ…木嶋君…」木嶋に話しの同意を求めていた。
木嶋は、
「麻美さんや、ちさとさんが言う通りかな!自分も、仲介役を好き好んで、引き受けているのではないですよ!たまに、はるかさんからの電話に、出れないことが多く、迷惑をかけているのです。」麻美に伝えたのだ。
麻美は、
「木嶋君には、《はるかさんと、交際するのを止めた方がいい…!》と、何度も忠告しているのにね。」半ば…諦め顔で、木嶋に話し出したのだ。
木嶋は、
「麻美さんの忠告は聞いていますよ!」麻美に伝えた。
麻美は、
「何で…別れようとしないの?はるかさんより、可愛い女性は、たくさんいるのに…。」木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「色んな人たちを見るたびに、そういう目で見てしまう自分がいるのです。」麻美に答えていた。
富高さんは、
「麻美さん、木嶋君は、はるかさんからのことが好きなんですよ。」
「そうみたいだね!」麻美は、サジを投げてしまった。