第313話
「いらっしゃいませ…」威勢の良い掛け声が、店内に響き渡っている。
女性店員さんが、
「2名様でしょうか?」木嶋に尋ねた。
木嶋は、首を縦にして頷いた。
「お席にご案内を致します!」女性店員さんが、木嶋と富高さんをエスコートした。
案内されたのは、テーブル席である。
座席に座り、メニューを2人して眺めていた。
「富高さん、何にしますか?」木嶋は、富高さんに問いかけていた。
富高さんは、
「ラーメン種類、トッピングは多いね。悩んでいても、時間がロスしていくので、《味噌ラーメン》と《餃子》にしようかな…と思いますが、木嶋君は…?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「自分は、《炒飯》と《餃子》をオーダーしようと思います!」富高さんに伝えた。
富高さんは、
「あと…ビールを忘れているよ!」木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「あっ…いけない。忘れるところでした。今日は、蒸し暑かったので、ビールを飲むのには、最高な日ですよ!」富高さんに答えたのだ。
すかさず…テーブルの上にあるボタンを、木嶋が押した。
「ピンポン」店内に響いていた。
女性店員さんが、木嶋たちのテーブルに来た。
「お待たせしました。ご注文をどうぞ…」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「味噌ラーメン、炒飯、餃子を2つ。それと、瓶ビールを1本、お願いします。」女性店員さんに答えた。
女性店員さんは、電子キーでオーダー入力しながら
「他に、ご注文は…よろしいでしょうか?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「以上でいいです。」女性店員さんに伝えた。
女性店員さんは、
「畏まりました。ご注文の確認をさせて頂きます。味噌ラーメン、炒飯、餃子を2つ。瓶ビールを1本でよろしいでしょうか?」木嶋たちに問いかけた。
木嶋は、
「はい!」と答えた。
女性店員さんは、
「少々、お待ち下さい…」と、電子キーを閉じ、木嶋のいるテーブルから離れて行った。
「木嶋君。一人で…ラーメン屋に入ることはあるの?」富高さんが、木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「飲みに出かけて、地元に帰って来たときに、お腹の空き具合に依って…入ることもありますよ!そこのラーメン屋は、味噌味が売りなので、味噌バターとかをオーダーします。」富高さんに話したのだ。
携帯のバイブレーターが、
「ブー、ブー、ブー」と鳴っている。
先ほどまで…電車に乗っていたため、マナーモードを解除していなかった。
木嶋は、簡易留守電になるタイミングが、5秒に設定してある。
仕事時間中は、簡易留守電などにはしていない。
携帯が鳴っても、工場勤務をしているので、音に掻き消されて行く。
画面を見ると…麻美からであった。
木嶋が、なかなかクラブ『U』に来ないので、痺れを切らしたのだ。
木嶋が、右手の人差し指を口にサインを出した。
富高さんに、声を出さないように…
電話に出た。
「もしもし…木嶋ですが…。」
「麻美です。木嶋君、今…どちらにいますか?」麻美が、木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「今は、関内駅の近くにあります…ラーメン屋に一人で食べています。」麻美に答えていた。
麻美は、
「木嶋君、本当に一人なの?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「店の中は、大勢の人たちが食事をしているので、賑やかですよ!」麻美に答えていた。
麻美は、
「富高さんもいればいいのにね!」
まるで、富高さんが、木嶋と一緒にいるのを見越した発言をしていた。
木嶋は、
「ドキッ」としながらも…
「そうだね!富高さんがいれば良かったね!」麻美に話したのであった。