第311話
もうすぐ横浜駅に着く。
「木嶋君、麻美さんの術中に嵌まっているような感じがしないかな?」富高さんが、木嶋に、《ポツリ》と呟いた。
木嶋は、
「何となく…そんな気がしますけど…」富高さんに苦笑いをして答えた。
麻美は、木嶋と友達だと…盛んに、強調しているが…
一度も、麻美と【プライベート】で出掛けたことがない。
それは、はるかにも、同じことが言えるのである。
「今日は、早く帰ろう!」
毎回…飲みに行くたびに、木嶋と富高さんは、そう話しているが、飲んだ瞬間に、気持ちが大きくなり、最終電車間際になることが多い。
最終電車間際になることが多い。
富高さんも、雰囲気に呑まれ過ぎることもある。
楽しくなると…
【どこかのカプセルホテルやビジネスホテルに泊まる】のが日常であった。
木嶋は、飲みに行っても、外泊をしたことがない。
関内から地元の最寄り駅までは、30分も掛からない。
外泊をするのは、家族で旅行に行ったり、田舎に出掛けない限りないのである。
1990年代は、陸上仲間と毎年、冬にスキーに出掛けたり、飲みに行くのが、当たり前の生活であったが…
21世紀になり、はるか、麻美と交際するようになってからは、出無精になってしまったかも知れない。
自分では、そんな感覚が、少なからずも感じていた。
横浜駅に着いた。
相鉄線の1F改札口を通り、階段を降りて、JRの改札に向かって行く。
「木嶋君、ここから…あと、どれくらいで着くのだろう?」富高さんが、木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「おおよそ…30分ぐらいだと思います。なぜ?そんなことを聞くのですか?」富高さんに尋ねていた。
富高さんは、
「麻美さんのクラブ『U』に出掛けるときは、多少出来上がった状態で向かうので、普段、店まで行くまでの距離感が分からないんだ。」木嶋に答えていた。
木嶋は、
「そうだね!自分も、富高さんが話していることに同感です。」富高さんに伝えたのだ。
改札口を通り、京浜東北線のホームに向かう。
「いつ来ても、横浜駅は混雑しているよね!」富高さんが、ため息交じりに…木嶋に告げた。
木嶋は、
「日本の主要駅の乗降客…ベスト5に入る駅ですよ。」富高さんに答えたのだ。
富高さんは、
「もちろん…東京駅や新宿駅も入っているよね?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「当然…ですよ。それだけ…こちらに人口が集中している証拠です。」富高さんに話し、続けて…
「はるかさんが、関内は寂れた街と印象しかない…と言うんだよね!」伝えた。
富高さんは、
「木嶋君、はるかさんの言っていることは、正論かも知れないよ!」
「富高さんも…そう思うの?」木嶋が問いかけた。
「はるかさんは、いつも…横浜駅周辺で遊んでいるだよね?…何でも揃っている…!」富高さんが、木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「そうだね。横浜駅周辺で遊んでいるね。ここは…一大商業地であり、《ブランドメーカー》も…【横浜高島屋】、【横浜そごう】にたくさんある。一日いても飽きることない。はるかさんが、横浜駅から出て買い物に行く姿を想像したことないよ!」富高さんに伝えた。
富高さんは、
「木嶋君でも…そう感じるだね!自分も同じ意見だよ。」木嶋に話したのだ。
京浜東北線のホームに上がり、電車が来るのを待っていたのであった。