第306話
「フー」と、ため息が出た。
「やれやれ…」ボヤきながらも…その日の仕事を終えた木嶋は、大貫さんのいる職場に歩いて行く。
大貫さんは、椅子に座り、パソコンで入力作業をしている…。
「大貫さん、事務所の女性メンバーは決まったの?」大貫さんに問いかけていた。
大貫さんは、
「決まったみたいだぞ!」木嶋に答えたのだ。
木嶋は、
「良かった…。」
『ホッ…と』一安心して、胸を撫で下ろしていた。
【若い女性スタッフを、説得するのに大変だったぞ!】大貫さんが、ボソッと呟いた。
木嶋は、
「そうだよな!誰でも、引き受けたくないからね!」大貫さんの意見に賛同していた。
冷静に考えれば…木嶋から見たら、妹の感覚しかないのが現実である。
「ヤバイな!最近の流行りの曲を聞いていないから、レンタルショップで、CDをレンタルしないといけないな!同時に、はるかに教えて戴かないと、女性心理が、分からない!」
木嶋の心の中では…
はるかに、頼り過ぎていると思うが、今、気さくに話しを出来る人がいないのが、致命的である。
何か…ねだられると…ウンザリしてしまう!
「たまには、麻美に電話を掛けようかな?」
木嶋は、作業服の左ポケットから携帯を取り出した。
着信履歴から、麻美の番号をスクロールをした。
掛けようとしたとき…一瞬、躊躇していた。
「いや…待てよ!麻美に聞いても、自分と年齢が同じだし…意見が変わることはない。玲でも同じことが言える。どうすればいいのだろう?」木嶋は、両腕を組みながら、ロッカールームに向かい歩いていた。
『ピーン』と、閃いた!
「そうだ。大貫さんの職場に、去年…社内結婚した若い社員がいるから、その人に聞いてみよう!」
歩みを止め、若い社員のいる職場に向かったが…
帰宅したあとで、もぬけの殻…であった。
「良く考えると…自分が、生徒会の役員を引き受けたときも…今回の文体リーダーも、人材不足と言うか…誰も、決め手になる人がいない!これが、運命なのかな?」
「そう考えると、田港さんに悪いことをしたかも…今、文体リーダーをやっている…大熊さんに聞いてみようかな?」木嶋は、大熊さんを尋ねることにした。
大熊さんは、自分の女性文体メンバーと仲良く話しをしている光景を、食堂で見ていた。
果たして…それが良いのかは…分からない。
少なくとも、
《みんなと仲良く…一年間の任務を全うすればいいのである。》
過去に、色んな人のタイプを見ているから、それが通じればいい。
木嶋は、大熊さんのいる職場に向かった。
夢遊病者のように、工場内を、《フラフラ》していた。
大熊さんを見つけた。
「大熊さん、来期…自分が、文体リーダーを引き受けることになりました。」木嶋は、大熊さんに話したのだ。
大熊さんは、
「木嶋、大丈夫か?」木嶋に問いかけた。
木嶋は、
「職場の代議員とは、意味合いが違うので…《プレッシャー》が掛かっているよ!」大熊さんに話したのだ。
大熊さんは、
「木嶋の言っていることは、理解が出来るよ!一度も、文体をやったことがなかったかな?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「文体は、一度も、やったことがないんだ!だから不安!」大熊さんに答えたのであった。