第304話
不安になり過ぎても…自分自身に自信が持てなくなってしまいそうである。
翌日…天気は、快晴。
気持ち良い朝である。
通勤電車の中で、スポニチを読みながら…
「田港さんは、急転直下で、ダメ出しをしないだろうか?」木嶋は、田港さんの心変わりが心配であった。
会社の最寄り駅に着き、通勤バスの中でも、そのことばかりを考えてしまう。
仕事を始まる前に…大貫さんが、溝越さんと一緒に木嶋のいる休憩場所まで歩いて来た。
「木嶋、今度…文体リーダーを引き受けたと、大貫さんから聞いたが…大丈夫か?」溝越さんが、真剣な眼差しで木嶋に尋ねていた。
溝越さんが、心配になる気持ちも理解が出来る。
同じ組合活動とはいえ…《職場の代議員》と《文体リーダー》では、責任の重さが違うのだ。
木嶋は、
「溝越さん、誰だって不安になりますよ!結果が全てですから…いい機会だと思い、頑張って見ます。」溝越さんに伝えた。
溝越さんは、
「そうだよな!何事も、チャレンジしないと…分からない。木嶋が、そこまで決意が固いなら言うことない。安心しているよ。肩肘張らず…普段と同じように頑張ればいいよ!」木嶋を激励した。
木嶋は、
「ありがとうございます。」溝越さんに答えたのだ。
大貫さんは、
「スタッフは、事務所の若い女性社員…2人と糸魚川。もう1人は、自分の職場から選出する。あとは、木嶋の回答待ちだ。」木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「昼休みに、後輩の現場に行き、回答をもらう予定です。分かりましたら、大貫さんの職場に伺います。」大貫さんに伝えたのだ。
仕事を始める前に、携帯を取り出した。
新着メールが、1通届いていた。
「はるかからだ!」
心持ち…嬉しくなっていた。
メールを開いた。
「木嶋さん、お久しぶりです。昨日のメールを読ませて頂きました。組合の《文体リーダー》なんて…どんなことをやるのだろうと…興味津々(きょうみしんしん)です。誰にでも出来ることではないと思います。スタッフの年齢層が判らないので回答が出来ませんが…私と話しが出来るので大丈夫ですよ!」
木嶋は、
「はるかが賛成なら…これで、心配の種がなくなった!若い女性社員が、いくつぐらいか判れば、話しが出来るのに…」そう思いつつ…作業エリアに入った。
昼休みになり、食堂で食事を終え、田港さんのいる職場に向かった。
富高さんが、田港さんと同じ職場にいるのを、木嶋は知っていた。
木嶋は、
「富高さん、田港さんは…ここにいないの?」富高さんに尋ねていた。
富高さんは、
「田港君は、昼休み…ここには…いないよ!ロッカールームだと思うけど…」木嶋に答えたのだ。
木嶋は、
「ロッカールームか…先ほど…見れば良かったな!富高さん、ありがとうございます!」富高さんに話したのだ。
ロッカールームの中に入り、田港さんを探した。
「あれっ…田港さんがいないな?どこに行ったのだろう?」
木嶋は、左の作業服のポケットから携帯を取り出した。
携帯が…
「プルッ、プルー、プルー」と鳴り出した。
「あっ…田港さんからだ!」
慌てて…電話に出た。
「もしもし…木嶋です。田港さんは、今…どこにいるの?」木嶋が、田港に問いかけていた。
田港さんは、
「今、先輩の職場に向かっているよ!」木嶋に答えたのだ。
木嶋は、
「分かった。これから、自分の職場に戻るから待ってて…」田港さんに伝え、走って職場に戻って行ったのだ。