第303話
大貫さんは、
「木嶋は、仕事以外で、若い女性社員たちと交流することがないから、これを機会に接してみたらどうだ…?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「そうだね!大貫さんが言われる通りですね!飲み屋のお姉さんたちとは、話しをすることが出来ますが…会社の人たちと…どう?話しを展開していけばいいのか分かりません!」大貫さんに答えたのだ。
「木嶋は、背伸びしようとしないで、普通にすればいいよ!変に…格好つけようとするから…《おかしく》なるんだ!」大貫さんは、木嶋に問いかけるように話したのだ。
木嶋は、
「分かりました。貴重な《ご意見…》ありがとうございます。自分が、スカウトしたい人が、1人…いますので、明日、大貫さんに回答出来るかと思います。」大貫さんに答えたのであった。
大貫さんは、頷きながら…理解を示し…木嶋の元から立ち去って行った。
木嶋は、
「本当に…自分で大丈夫なのかな?」今だに、一抹の不安を抱えていた。
その日の夜…
木嶋の携帯が…
「プルッ、プルー、プルー」と鳴っている。
はるかの着信音は決まっているが…
その他の人たちは、同じ設定になっているので、携帯のディスプレイを確認してから出ないと、
【誰からの電話か?】判らないのである。
「誰かな?」
ふと…ディスプレイを見た。
田港さんからであった。
「先輩…今、話しをしても大丈夫かな?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「大丈夫だよ!」田港さんに答えた。
「今日のことなんだけど…」
「やっぱり…な!」木嶋も、薄々(うすうす)感づいていた。
何かあると…田港さんは、木嶋に相談をしていた。
携帯電話がない時代…
【どのように過ごしていたのだろう?】
そう…考えると…
携帯電話が発明…普及したのは、技術の進歩である。。
前は、木嶋の自宅に電話で、悩みなどを聞いたこともある。
それ以外は…と言うと…
1年に1回の年賀状の交換しかいていなかったために、近況が分からなかった。
田港さんが、若いときは、
良く…【辞める。】と発言をして揉めたこともある。
そのたびに…
当時の課長が、
「木嶋、田港が辞めたいと言っているが、何か心当たりはないか?」心配をして、木嶋の元に来たこともある。
木嶋は、
「田港さんなら、一過性の出来事と捉えています。慰留すれば大丈夫ですよ!それでも、ダメなら仕方ありません!」課長に答えていた。
課長は、
「分かった。慰留してみよう!」木嶋に話していたこともあった。
誰でも、追い詰められると…弱音を吐きたくなる。
木嶋も、何度…会社を辞めようと思ったことか…判らない。
「良く…考えたんだが…自分が、文体をやったら、周りの人たちに迷惑が掛かるんじゃないのかな?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「田港さん、迷惑なんてことはない。周りの人が何を言おうが関係ない。物事を《マイナス》思考で考え過ぎるのもどうかと思う…夜間高校のときは出来て、今は出来ないことはないはず…責任は、自分が取る。」田港さんに伝えた。
田港さんは、
「分かりました。頑張って見ます。」木嶋に答え、電話を切ったのだ。
ふと…我に返った。
「田港には、先輩としての立場で言ったが…言っていることは間違っていない。自分が、大貫さんに話していたことと同じだ!」
【ハー】と、ため息が出てしまうのであった。