第287話
木嶋は、驚いた表情を見せながら…
グラスを右手に持ち、焼酎の水割りを一口飲んだ。
「汗を掻いたあとに飲むのはいいね!みゆきさん、ありがとう。」木嶋は、みゆきさんにお礼を述べていた。
みゆきさんは、
「お客さんに喜んで戴くのが、私たちの仕事ですからね!」木嶋に話したのだ。
富高さんが、
「さゆりさん、自分も…歌いますよ。どちらで言えばいいのかな?」さゆりさんに問いかけていた。
さゆりさんは、
「曲名でお願いします。」
「了解しました。曲名は、サザンオールスターズの【みんなのうた】でお願いします。」富高さんは、さゆりさんに伝えたのだ。
みゆきさんは、
「サザンオールスターズの【みんなのうた】ですか…有名な曲ですよね!」富高さんに復唱して、右手にリモコンを持ち、入力した。
富高さんは、
「小室さんから流れで、自分も歌うことになってしまいましたが…3曲続けて歌っていいのかな?」さゆりさんに尋ねていた。
さゆりさんは、
「他のお客さんが歌わないのですから…気にすることないですよ!」富高さんに答えていた。
サザンオールスターズの…
【みんなのうた】のイントロが流れてきた。
富高さんは、慌てるそぶりもなく…落ち着いていた。
マイクを右手に握り締め…歌い始めた。
麻美が、
「木嶋君たちに、無理して歌わせているみたいで申し訳ない!」木嶋に謝罪をしていた。
木嶋は、
「麻美さんが、謝ることないですよ!3人とも…人前に出るのは苦手…。下手でも、歌うのが好きだから…。」麻美に話したのだ。
麻美は、
「そう言ってくれると嬉しいです。カラオケが嫌いな人がいるからね!そういう人に、お願いは出来ませんからね!」木嶋に話していた。
木嶋は、
「マイクを独占するのは良くないので…後は、他のお客さんに頑張ってもらいましょう!」安堵の表情を浮かべた。
麻美は、
「そうだね!木嶋君、一瞬…顔色が変わったよね?何か…あったの?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「麻美さん、何で…分かったの?」麻美に問いかけていた。
麻美は、
「それくらい分かります。木嶋君と、長い付き合いだし、分からなくてどうするの?」木嶋に問い詰めた。
木嶋は、
「仕方ない…麻美さんに話しますか?はるかさんから…何度も着信履歴があったのです!」
「私に気を使わず…すぐに、かけ直せば良かったのに…」麻美は、木嶋に答えたのだ。
木嶋は、
「さすがに無理ですよ。みんなで盛り上がっているのに…水を差すことは出来ません!今日、麻美さんのクラブ『U』へ飲みに行く話しはしてあります!たまには、はるかさんから解放されたいときもありますよ!」麻美に本音を伝えた。
「本当は…《毎日、はるかさんと一緒に居たい。》と話しをしているくせに…」麻美は、木嶋の心の中を透視して話しているみたいであった。
麻美が、木嶋に言っていることは…正論である。
木嶋は、照れていた。
富高さんが歌い終えた。
さゆりさん、みゆきさん、麻美さん、小室さん、木嶋が拍手をした。
富高さんは、
「ありがとうございます!」麻美さんに話したのだ。
麻美は、
「富高君、カラオケ上手だね!密かに練習をしていたのでは…。」富高さんに、ツッコんでいた。
富高さんは、
「練習なんかしていません!《歌番組》や《CDショップ》などで聴いていれば…必然と覚えてしまいます!」謙遜しながらも、麻美に話したのであった。