第285話
【夜霧よ…今夜も有難う】のタイトルが流れて、前奏が聴こえてきた。
このメロディーは、正しく…石原裕次郎である。
木嶋は、
「小室さん、石原裕次郎のメロディーが流れていますよ!」小室さんに、マイクを持つように促していた。
小室さんは、慌ててマイクを持ち…
「それでは、歌わせて戴きます。石原裕次郎で、【夜霧よ…今夜も有難う】です。」
木嶋、富高さん、さゆりさん、みゆきさん、麻美が拍手で盛り上げていた。
周りにいた…他のお客さんも、木嶋たちに釣られるように、拍手をしていた。
クラブ『U』にいるお客さんの年齢層は、見た感じ…小室さんと同じぐらい…だと思う。
石原裕次郎の曲のあとに、他のアーティストの曲を歌うのは、気が引けてしまう。
麻美は、
「木嶋君も、歌えばいいのに…」木嶋へ歌うように催促していた。
木嶋は、
「さすがに、同じテーブルから続けて歌っていいのか…疑問を抱くよ!他のテーブルのお客さんに勧めて下さい!」麻美に話したのだ。
麻美は、
「一度、他のお客さんに誘いをかけてみますが、もし…いないようなら歌ってくれるかな?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「いいよ!富高さんでもいいよね?」麻美に聞いていた。
麻美は、
「今まで…富高さん…一度も歌ったことないよね?」木嶋に問いかけ…
木嶋は、
「ないはず…!」麻美に答えたのだ。
麻美は、
「他のお客さんに声を掛けてくるね?みゆきさん、その間、木嶋君をヨロシクね!」麻美は、カラオケのリモコンを持ちながら、みゆきさんにシグナルを出しながら、他のテーブルに誘いをかけた。
みゆきさんが、
「木嶋さん、最近の曲は、良く聞かれるのですか?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「最近の曲は…宇多田ヒカルと倉木麻衣を良く聞いています。」みゆきさんに伝えたのだ。
みゆきさんは、
「宇多田ヒカルも、倉木麻衣も良い曲歌いますよね?木嶋さん、歌えますか?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「聴くのはいいですが、歌えないですよ!」苦笑いしながら答えていた。
みゆきさんは、
「それなら…歌える曲があるならお願いします!」木嶋に、再度依頼をした。
木嶋は、
「麻美さんが、こちらに戻って来たら選曲します!それでいいかな?」みゆきさんに同意を求めた。
みゆきさんは、
「いいですよ。宇多田ヒカルを歌いますね!曲は、【Automatic】です。聴いたことがありますか?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「聴いたことがあります。《デビューアルバム》に収録されているよね!自分のお気に入りの曲です!」みゆきさんに話したのだ。
みゆきさんは、
「ありがとうございます。後ほど…歌わせて戴きますね!」嬉しそうに話したのだ。
麻美が、木嶋のテーブルに戻ってきた。
「木嶋君、一曲…お願い出来るかな?」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「いいよ!《チェッカーズ》にしようかな?」麻美に尋ねていた。
麻美は、
「いいね〜。私たちの青春時代を過ごした…アーティストだね!」木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「富高さんには、《サザンオールスターズ》を歌って戴きましょう!」麻美に相談した。
麻美は、
「そうだね!富高さんが演歌を歌えば渋いよね?」木嶋に答えたのだ。
木嶋は…
小室さんの石原裕次郎…【夜霧よ…今夜も有難う】を聴き入っていたのであった。