第284話
小室さんは、飲めば…
人前で、カラオケを披露することもあるが、その場の雰囲気に依って…自らが、マイクを片手に取ることもある。
十八番は…石原裕次郎である。
小室さんは、会社の仲間と、良く旅行に出かける。
【北海道に出掛けたときは、《小樽の石原裕次郎記念館》に立ち寄った…】と、飲んだ席で、話しを聞いたことがある。
木嶋自身、一度しか北海道に行ったことがない。
今まで、小室さんと飲みに出かけた回数は、数えるくらいであった。
【小室さん、今日は、気分が乗っている】証拠である。
「よし…この曲を入れよう!」小室さんが呟いた。
すかさず…麻美が反応した。
「小室さん、曲名を言って下さい!」麻美が、小室さんに話したのだ。
小室さんは、
「えっと…【夜霧よ…今夜も有難う】でお願いします。」麻美に伝えたのだ。
麻美は、
「石原裕次郎さんの曲ですね!随分渋いです!ここに来るお客さんの中で、裕次郎さんを歌う人はいません!小室さん、好きなのですか?」小室さんに問いかけた。
小室さんは、
「石原裕次郎は、自分の青春時代を《オーバーラップ》しているんだ。映画も観たこともあるぞ!」麻美に答えていた。
麻美は、
「一番有名な…【太陽の季節】ですか?」小室さんに尋ねていた。
小室さんは、
「うん。【太陽の季節】が一番好きかな!晩年は、テレビドラマに《シフト》しても観ていたよ。」麻美に伝えた。
麻美は、
「好きな人なら、どこまでも追い掛けたいですよね!ヨットもやるのですか?」小室さんに期待感を持ちながら尋ねていた。
小室さんは、
「この身体で、ヨットは向かないよ!」煙草に火をつけ、麻美に話したのだ。
麻美は、
「ヨットも、やっていれば格好良かったな!」小室さんに伝えた。
木嶋は、苦笑いを浮かべながら…
「自分が、石原裕次郎のテレビドラマを観たのは…【太陽にほえろ】と【西部警察シリーズ】ですね。」小室さんに話したのだ。
富高さんが、
「自分も、【西部警察シリーズ】は、良く観ていたよ!確か…日曜日の夜8時から放映した記憶があるよ!」木嶋に答えていた。
木嶋は、
「自分も、日曜日の夜8時は、テレビの前に座り観ていたよ!大森さんも、同じ年代だから、一緒に飲みに行ったときに聞いたら…《観ていた。》って…話していたことがあったよ!」富高さんに伝え、
「あとで、大森さんに聞いてみようか?」小室さんに話していた。
さゆりさんは、
「その【西部警察シリーズ】は、どんなテレビドラマなのでしょうか?」富高さんに尋ねていた。
富高さんは、
「売りは…派手な…《カーアクション》と《銃撃戦》(じゅうげきせん)だね!他の刑事ドラマと《スケール》が全然違いますよ。」さゆりさんに答えていた。
さゆりさんは、
「再放送などは、やっていないのですか?」富高さんに問いかけていた。
富高さんは、
「自分は、携帯を持っていないので、木嶋君に話しを振った方がいいよ!調べてくれじゃあないかな?と思うよ。」さゆりさんに話したのだ。
さゆりさんは、
「木嶋さん、【西部警察シリーズ】の再放送を調べて戴けませんか?」木嶋に伝えたのだ。
木嶋は、
「何を調べるの?」悪戯ぽく…惚け、さゆりさんに聞いていた。
さゆりさんは、
「知っているくせに…」少し…怒った表情を見せたのだ。
木嶋は、
「これから調べます!」後ろのポケットから携帯を取り出した。
すると…携帯の着信を知らせる…サインが出ていたのであった。