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第280話

女性スタッフが、

木嶋のテーブルに、焼酎【JINRO】を持ってきた。

麻美が受け取り…キャップをひねった。

「木嶋君、どれくらい入れる?」こおりをグラスに入れながら、木嶋に尋ねていた。

木嶋は、

「少し…薄めでいいよ!普段から飲み慣れていないから、飲み過ぎで帰れなくなると《ヤバイ》からね!」麻美に伝えたのだ。

麻美は、

「もし、潰れてしまったら…私の家まで連れていき、介抱かいほうするよ!」

「万が一…そうなった場合は頼みます!」木嶋は、なかば開き直った。

はるか、玲、麻美であっても…

口では【世話になりたい】と思うが、正直な気持ちは、どんなに飲み過ぎても、その日のうちに家へ帰り、《グッスリ》寝たい。

20代の頃、会社の飲み会で…飲み過ぎてしまい…。

救急車で最寄りの駅近くの病院に運ばれ…姉に、病院まで迎えに来てもらった苦い思い出がある。

そのとき以来、飲みに出かけるときは、細心さいしんの注意を払っている。

「富高さんと、小室さんは、普通でいいですか?」麻美が、富高さんと、小室さんに問いかけていた。

富高さんと、小室さんは、声を揃えて…

「いいよ!」と答えたのだ。

木嶋は、

「麻美さんたちも、【JINRO】で良ければ…どうぞ!」麻美、さゆりさん、みゆきさんに声を掛けた。

木嶋が、自分のボトルを、女性スタッフに勧めるのも珍しい。

もっとも…はるかの店に、何度も足を運んでいるので、そのたびに耳打ちされている。

はるかと知り合ったときは、まだ《未成年》であった。

木嶋は、アルコールを勧めるのは良くないと言う良心りょうしんが出ていた。

あとは、はるかの考え方だと…。

一時期いちじき

はるかと、麻美が、同じクラブ『H』にいた。

お互いの年齢が離れているので、話しがわないのは当然だった。

どちらの味方みかたへなるにしても…木嶋は、中立ちゅうりつを 保たないといけなかった!

麻美が、クラブ『H』を辞めてからは、放浪ほうろうたびに出たと思わずに居られなかった。

いつまでも…。

まよい続ける…。

出口の見えない迷路みたいに、中々(なかなか)抜け出せない。

ようやく…安住あんじゅうが、関内だったのだ。

木嶋が、

「麻美さん…。さゆりさんと…みゆきさん…自分が会うのは初めてだよね?」麻美に聞いていた。

麻美は、

「そうだね!木嶋君が会うのは、初めてだね!2人とも…入店したばかり…はるかさんより素敵な女性ですよ!」木嶋に話したのだ。

木嶋は、

「いきなり…本題ほんだいですか…」苦笑いを浮かべ…切り返して…

「麻美さん、さゆりさんと、みゆきさんにも…焼酎の水割りを造って下さい!」麻美に伝えたのだ。

「OK!」

麻美も、夜の仕事が長いせいか…手際てぎわがよい。

あまりの手際の良さに感心していた。

麻美が、

「さゆりさん、みゆきさん、これをどうぞ…!」

グラスに入った焼酎を手渡した。

富高さんが、

「みなさんに渡ったみたいなので…乾杯しましょう!」

続けて…全員が、

「お疲れさま!」と、声を掛けた…。

グラスを上げ、鳴らしている。

「いや〜おいしいね!」木嶋が言葉を漏らしていた。

麻美が、

「そうでしょう〜。みんな…待ち焦がれていた。飲み物よりも、《おつまみ》を頼もうか?」木嶋に問いかけた。

木嶋も、

「何か…食べる物がないと、酔いが回るのが早いからね!メニューを下さい!」麻美に伝えたのだ。

麻美は、近くにいた女性スタッフを呼び…

【メニューを持ってきて!】と話したのであった。

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