第279話
エレベーターが、7Fで止まった。
何処の《クラブ》、《スナック》の多くは、雑居ビルの中に入っている。
【別名…クラブ通り】と言うフロアが存在するが、麻美の店も例外ではなく、クラブが、3軒あった。
クラブ『U』のドアを開けた。
玲のクラブ『O』より、一回り店のスペースが小さく感じる。
「いらっしゃいませ!」女性スタッフの声が聞こえてきた。
麻美と飲むのは、今年の1月以来である。
木嶋にして見れば、同じ店に続けて来るのも珍しい。
以前は、はるかから、
「たまには、私のクラブ『H』に来てよ!」と、アフターで会うたびに言われていた…
横浜駅で、途中下車をしなくて良いと思うと、気分的に楽である。
これからは…
《関内で、ゆっくり飲めるのかな?》
僅かな期待感が込み上げていた。
麻美が、
「右端の席に、リザーブシートのカードを置いてあるので、そちらに座っていて下さい!」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「分かりました!」と答え、
富高さんと、小室さんを案内していた。
テーブルの上には、氷と、ミネラルウォーターが置いてあった。
木嶋は、
「富高さん、小室さん、どのように座りますか?」問いかけていた。
富高さんは、
「木嶋君が、奥に座れば良いんじゃないかな?自分は、飲みすぎると…トイレが近くなるので、反対側がいいね!小室さんは、どうしますか?」小室さんに尋ねていた。
小室さんは、
「自分も、富高と同じ意見だ。木嶋、そういうことでヨロシク!」木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「了解しました!」富高さんと、小室さんに答えたのだ。
右端に…木嶋が座り、
富高さんと、小室さんが反対側に座った。
麻美が、
「いらっしゃいませ!」木嶋たちに声を掛けながら、オシボリを手渡していた。
麻美の他に、2人の女性スタッフを連れてきた。
「私の左手に、『さゆり』さん、右手に、『みゆき』さんです!」麻美が、木嶋、富高さん、小室さんに紹介した。
木嶋が、
「よろしくお願いします!」と、さゆりさん、みゆきさんに頭を下げた。
麻美は、
「木嶋君は誰がいい…?」木嶋に問いかけた。
木嶋は、
「若い人がいい…なんてね!麻美さんでいいよ!」麻美に伝えた。
麻美は、
「木嶋君、無理に私を指名しなくてもいいよ!本当は、若い…『さゆり』さん、『みゆき』さんがいいんじゃないの?」木嶋に答えたのだ。
木嶋は、
「やっぱり…バレました!スタートは、麻美さんでお願いします!」麻美に話したのだ。
麻美は、木嶋の答えに理解を示し…
「さゆりさんは、富高さん。みゆきさんは、小室さんで良いのかな?」富高さん、小室さんに確認をした。
富高さんは、
「いいよ!」威勢の良い答えが返ってきた。
麻美は、木嶋の右隣り…
さゆりさんは、富高さんの左隣り…
みゆきさんは、小室さんの右隣りに座った。
麻美は、
「今から、スタートするね!飲み物のボトルは、焼酎の【JINRO】でいいかな?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「小室さん、芋焼酎ではないですが…いいよね?」小室さんに問いかけていた。
小室さんは、家で毎日のように…芋焼酎を飲んでいる。
『クラブ』や『スナック』で芋焼酎がある店は少ない。
殆どの店で…
【JINRO】を置いているので安心して飲めるのであった。
木嶋は、
「焼酎の【JINRO】でいいよ。」麻美に話したのだ。
麻美は、
「了解しました。」と答え、
右手を上げ、女性スタッフに…
「焼酎の【JINRO】をお願いします。」伝えたのであった。