第268話
木嶋は、おでん屋『S』の前に立ち止まり…。
携帯を、Gパンのポケットから取り出した…。
再び…小室さんの携帯に電話をした。
「プッ、プッ、プッ、プルー」呼び出し音が鳴っている。
呼び出しをしても、なかなか電話が繋がらない。
「何をしているんだろう?」
木嶋も、大森さんも、不安になりながらも、苛立ちを隠せずにいた。
何度…かけ直しているか分からない!
「参ったね。大森さん、どうしよう?電話に出ないよ!」木嶋は、大森さんに零していた。
大森さんは、
「小室さん、酒の酔いが回るのが早いからね!木嶋君、2人で、他の店に行こうか?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「もう一度…【チャンス】をもらって掛けてみましょう!この電話に出なかったら、大森さん、他の店で飲みましょうか?」大森さんに答えていた。
大森さんは、
「そうだね!」木嶋の提案に頷いていた。
「プッ、プッ、プッ、プルー」何回目か?判らないくらい呼び出しをしていた。
「もしもし…小室ですが…!」
やっと…小室さんが電話に出た。
「木嶋です。小室さん、何回も電話したんですよ」木嶋は、怒った口調で小室さんに話していた。
小室さんは、
「あっ…そうか?何回も、電話してもらって…悪かった!木嶋、今、どこにいるんだ?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「今、おでん屋『S』の前に、大森さんと一緒にいます。小室さんは、どちらにいますか?怒っていますよ!いつまで、待たせるんだって…」木嶋は、小室さんに問い詰めていた。
小室さんは、
「それは、《マズイ》な!大森を宥めてくれるか?今、おでん屋『S』の中にいるよ!富高と話しをしていたら盛り上がってしまい、電話に出ることが出来なかった!早く、来てくれ…。」木嶋に答えていた。
木嶋は、
「分かりました。おでん屋『S』のどこに座っているのですか?」
「入って…右だよ!直ぐに判るはずだ…」小室さんは、《ぶっきらぼうな》言い方で木嶋に伝えた。
「分かりました!」と、木嶋は答え、電話を切ったのだ。
木嶋は、
「大森さん、おでん屋『S』の中にいるみたいなので入りましょうか?」大森さんに声を掛けたのだ。
大森さんは、
「そうだね!寒さが、段々と身に染みて来たよ!」木嶋に話したのだ。
昼間は、冬にしては、暖かったこともあり、夜になって…急激に、気温が低下していた。
この時期は、寒暖の差が激しい。
暖冬だと言っても…
冬将軍が到来すると、さすがに寒くて震え上がってしまう。
大森さんの仕事は、表の作業をしているが、防寒着を着ているが…
冬の寒さは苦手で、休み時間になるたびに…
木嶋の作業エリアに来て…ストーブに手を当てて…暖をとっている。
木嶋、富高さん、小室さんは、ラインの中で仕事をしているが、
朝は寒くても、動けば身体が、ポカポカして暖かくなるのであった。
懐は、給料を貰えば暖かくなるが、使えば使うほど…無くなって行く。
人は、自分の趣味を…
一つは持っているはずである。
スポーツ観戦、映画、音楽鑑賞、ドライブ、ボウリング、ゴルフ、テニス、釣りなど、色んなジャンルがある。
何もないのは、考えられないと思っている。
趣味を持つことに依って自分自身のスキルアップに繋がっていくのである。
木嶋の場合は、スポーツ観戦、映画、音楽鑑賞が…はるかとの共通点が、いくつも見つけ出すことが出来たのだった。