第267話
やっとの思いで、仕事が終わった木嶋は…
大森さんの元に向かって行こううとしたとき…
大森さんが、木嶋の元に歩いてきた。
「木嶋君、お疲れさま。今、職場に行こうと思っていたんだ!」大森さんは、木嶋に話していた。
木嶋も、
「自分も、今、仕事が終わったばかりなので…《ナイスタイミング》でした。」大森さんに伝えたのだ。
「木嶋君、これからロッカールームで着替えるんだよね?着替え終わったら…外で待っていてくれるかな?」大森さんは、木嶋に問いかけたのだ。
木嶋は、
「うん、いいよ!」大森さんに、快く返事をしたのであった。
木嶋も、大森さんも、同じロッカールームである。
お互いの様子は、すぐに見られる距離である。
会社の送迎バスの発車時刻まで…
まだ、余裕がある。
木嶋が、いつも、送迎バスに乗るのは、発車間際が多い。
そのため…バスの運転手さんに不快な思いをさせることが、屡々(しばしば)ある。
これは、木嶋自身が直さないといけないことなのだ。
先に着替えを終えた木嶋は、ロッカールームの外に出て、大森さんが来るのを待っていた。
木嶋から遅れること…3分。
大森さんが出てきた。
左腕にしている腕時計を木嶋は確認した。
「発車まで…あと3分か…今日は、余裕があるな!」安心感を漂わせていたのであった。
「木嶋君、バスの発車時間は大丈夫?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「時間に、余裕があるから大丈夫です。」大森さんに伝えた。
大森さんは、
「この時間は、乗っている人が多いね!」驚いた様子で木嶋に声を掛けていた。
木嶋は、
「そうだね!いつも…このバスに乗るが、週末だと言うのに、会社で仕事をしている人が多いね!」大森さんに答えたのだ。
バスのドアが閉まり、会社を出たのだ。
「木嶋君、小室さんに電話しなくていいの?」大森さんが、木嶋に問い掛ける。
木嶋は、
「最寄り駅に着いたら、電話すればいいでしょう!」大森さんに話したのだ。
木嶋が先に乗り…
大森さんが、あとからバスに乗り込んだ。
一番後ろの座席が空いていたので…
そこに、大森さんと一緒に座った。
バスの坐り心地が悪いのか?
【ソワソラ】していた。
木嶋は、バスに乗り慣れているのか?
《そんな不安はない。》
大森さんは、普段からマイペースなので、人が運転するよりも、自分で、運転した方が楽なのである。
送迎バスが、最寄り駅に着いた。
「大森さん、降りるよ!」木嶋は、大森さんに声を掛けた。
大森さんも、あとからバスを降りたのだ。
Gパンのポケットから、木嶋は、携帯を取り出した。
「大森さん、今、小室さんに電話するからね!」大森さんに伝え、
小室さんの携帯番号をメモリーダイヤルからスクロールした。
「プッ、プッ、プッ、プルー」呼び出している。
なかなか電話に出ない。
不安な表情が、木嶋の顔を曇らせていく。
「木嶋君、どうしたの?」大森さんが、木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「呼び出しているが、電話に出ないんだ!」大森さんに聞いていた。
大森さんは、
「気づかないのかも知れないよ!」木嶋に伝えたのだ。
木嶋は、
「おでん屋『S』に向かいましょう!」大森さんに話したのだ。
大森さんは、
「その方がいいかもね!もし、そこに、いなかったら…別なところで、2人で飲もうよ!」木嶋に提案した。
木嶋は、頷いたのであった。