第266話
一日の仕事終わりを告げるチャイムが、
「キーン、コーン、カーン、コーン」鳴り響いている。
三谷さんは、
「木嶋、お先に失礼するよ!」嬉しそうな表情で職場をあとにした。
木嶋は、
「さぁ〜、これから…もう一踏ん張りしないと…いけないな!」自問自答を繰り返していた。
職場近くにある自動販売機で、コーヒーを買い、小室さんのいる休憩所に歩き出した。
小室さんは、煙草に火を点し、
「フー」と…白い煙を出していた。
木嶋は、煙草を吸ったことがないので、吸う人の気持ちは、理解しがたい。
煙草は、健康に良くないし、肺ガンになるリスクも高くなるのであった。
「小室さん、富高さんのことをよろしくお願いします。」木嶋は、小室さんに頭を下げていた。
小室さんは、
「木嶋、早く仕事を終わらせて…合流してくれよ!」木嶋を急かすように話していた。
木嶋は、
「分かりました。早く合流出来るように努力します。」小室さんに伝えたのだ。
小室さんは、
「富高が、ロッカールームで待っているから、先に行くぞ!」
先ほどまで吸っていた…煙草の火を、水の入った容器に入れ消火したのを確認してから…座っていたシートから立ち上がり、ロッカールームに歩いて行く…。
木嶋は、小室さんと別れ、大森さんのいる場所に歩いて行く。
「大森さん、何時ぐらいになりそうかな?」
木嶋も、大森さんのことか気掛かりになっていた。
大森さんは、
「7時までだよ。木嶋君は…」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「自分も、7時までだよ!今日…バイクで会社に来ていないよね?」大森さんに聞いていた。
大森さんは、
「バイクは家に置いてきたよ。何で…?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「前に、バイクで飲み会の場所まで来たことがあったでしょう?飲酒運転で捕まったら大変だからね。そのことがあったので聞いてみました。」大森さんに答えたのだ。
大森さんは、
「木嶋君、会社のバスに乗るんだよね?一緒に行こうよ!」木嶋に声を掛けた。
木嶋も、
「自分も、最初からそのつもりでしたよ!」大森さんに伝えたのだ。
大森さんは、
「もし、仕事が早く終わったら、木嶋君の職場に顔を出すよ!」木嶋に話し、
木嶋も、
「そうしようか!自分も、早く終わったら、大森さんに声を掛けるよ!」大森さんに答え、職場に戻って行った。
職場に戻ると、溝越さんが待っていた。
「木嶋、今日…飲み会だったのか?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「大森さん、富高さん、小室さんの4人で、会社の最寄り駅で飲む予定です!」溝越さんに答えていた。
溝越さんは、
「何か…悪いことをしたな!申し訳ない。」木嶋に頭を下げていた。
木嶋は、
「仕事ですから仕方ないですよ!大森さんも、状況は一緒ですよ!」溝越さんに伝えた。
溝越さんは、
「そうだよな!自分たちが仕事をしていたら、大森も同じ。三谷も冷たいな!今日のことは、知っていたのか?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「三谷さんも、声を掛けたのですが、急用が出来たと言ってドタキャンされました!」
「それでか…ニコニコしながら帰ったのは…ケガだけはするな!何かあったら…自分も残っているから、声を掛けてくれるか?」溝越さんは、木嶋に問いかけたのだ。
木嶋は、
「分かりました。もしものときは、声を掛けます。」溝越さんに話したのだ。
溝越さんは、その言葉に安心したのか…納得した表情で、木嶋の元から離れて行ったのだ。