第263話
「キーン、コーン、カーン、コーン」
仕事の始まりを告げるチャイムが、工場内に鳴り響いている。
「今日も、一日…頑張るか…!」
「フー」と、ため息が漏れ出ていた。
いつもより、《テンション》が低い。
こう言うときは、【ケガ】をしやすいので、気に掛かけていた。
前日までは、《行く》と張り切っていた…三谷さんが、コケしまったのだ。
「三谷さん、ドタキャンが多いよ!」ブルーな気持ちになってしまっていた。
「キーン、コーン、カーン、コーン」
午前10時の休憩時間になった。
木嶋は、職場の近くにある自動販売機で缶コーヒーを購入して、小室さんのいる職場に歩いていく。
「木嶋…三谷は来るのか?」小室さんが、木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「急用が出来て…来れないと言われました。」小室さんに伝えた。
小室さんは、
「何だよ…三谷が来ると言うから、居酒屋にしたのに…それで、急用の内容は何だ?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「内容に関しては、把握していません!聞く必要がないと思ったのです。」小室さんに答えたのだ。
「三谷は、どうしようもないな!大森は、来れないことは、知っているのか?」小室さんは、木嶋に尋ねていた。
「まだ、話しをしていないので、昼休みに、大森さんが自分のところに来るので、その時に、話しをしようと思います。」木嶋は、小室さんに伝え、自分の職場に戻って行った。
「気を取り直して、昼まで頑張ろう。」
自分自身に気合いを入れていた。
三谷さんが、
「木嶋、小室さんの職場に行っていたのか?」木嶋の元に歩いてきた。
木嶋は、
「先ほど…話しに行きましたよ。小室さん、怒っていましたよ!」三谷さんに答えていた。
三谷さんは、
「木嶋に行かせて悪いね。」木嶋に頭を下げていた。
「三谷さんが、出向いて行かないと…。」それ以上は、言葉が出なかったのだ。
「あとで、大森さんには、自分から話しをします。」三谷さんに伝えたのだ。
仕事を始め、溝越さんが、深刻そうな顔で職場に戻ってきたのだ。
三谷さんは、
「溝越さん、どうしたのですか?」
溝越さんは、
「今日、突発的な仕事が入って来てしまったんだ!それで、どうしたらいいか?考えあぐねていたんだ。」三谷さんに答えていた。
木嶋は、
「三谷さん、間が悪いよ!」心の中で叫びつつ、
「こう言うときは、どちらかが残るようになるな!」今までの経験則から分析をしていた。
その分析が当たるのであった。
「木嶋か?三谷か?どちらか…残れるか?」溝越さんは、木嶋と、三谷さんに問いかけたのだ。
三谷さんは、
「自分は、用事があるので、帰ります。」溝越さんに、猛烈にアピールしていた。
木嶋は、
「分かりました。自分が残ります…。」溝越さんに伝えたのだ。
溝越さんは、
「木嶋、悪いな!」申し訳なさそうに、木嶋に頭を下げ、自分の机に座った。
「木嶋、この間…譲ったのだから、今回は、勘弁してね!」三谷さんは、木嶋に声を掛けた。
「お互い様だから仕方ないよね。」木嶋は、諦めモードになっていた。
昼休みになり、食堂に行く前に、大森さんを探していた。
「大森さん、チョット…いいかな?」
大森さんは、
「木嶋君、どうしたの?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「三谷さん、今日、来れないと言って来たんだ。」大森さんに伝え、後ほど…また、話しに来ますよ。
大森さんの職場を、一時離れたのであった。