第259話
東海道線が、
「パーン」クラクションを鳴らしホームに入って来た。
通勤で、相鉄線を使うようになり、東海道線を朝、横浜駅から乗るのは、一年のうちに、両手で数えるくらいしかない。
「プシュー」ドアが開いた。
この時間は、そんなに混んでいる印象はない。
《時間がズレたら…どうなっているのだろう?》
ただ…不安なのは、戸塚駅で乗り換えをするとき、階段を降りる位置が解らない。
そこが、心配である。
東海道線の先頭車両から7両目に乗車した。
「まっ…この辺りにいれば問題ないかな?」
妙に…安心感があった。
「プルー」発車ベルが鳴り響いていた。
「ピコン、ピコン」ドアが閉まり、電車が走り出した。
木嶋は、長いシートから、空いている座席があるか…周りを見渡している。
目敏く…空いていた座席を見つけ…そこに、小走りで走って行く。
電車の中で寝ている【ビジネスマン】、【OL】の姿もあった、。
リュックしまってあった…《スポニチ》を取り出した。
横浜駅から戸塚駅までの所要時間は、およそ10分ぐらいである。
相鉄線が、会社の最寄り駅に延伸されるまで、藤沢駅で乗り換えていたことを思い出しながら、電車の窓から外の景色を眺めていた。
「何年か前までは、毎日、東海道線に乗っていたんだな〜」感慨に浸っていた。
左腕にしている腕時計を見た。
「もうすぐ…戸塚に着くか…!」
《スポニチ》を、リュックから取り出しながら、一ページも読めなかった。
再び、リュックに、《スポニチ》しまった。
戸塚駅に着いた。
「プシュー」ドアが開いた。
電車から降りた。
乗り換え階段まで、少し手前であった。
「次の機会は、一両前でもいいかな!」
次の機会と言っていても、それが、何日、何ヶ月先になるか?判らないのである。
階段を降り、乗り越し精算機に向かって行く。
「一区間なら…高くならない!最低運賃を払えばいいのだろう?」そう感じていた。
精算機に定期券を入れた。
画面に表示された金額見て…
「250円、こんなにするのか!」驚いていた。
Gパンのポケットから、財布を取り出していた。
あいにく…財布の中に、小銭を捜したが、見当たらない。
「仕方ない。1000円札を出そう。」
財布から、1000円札を出し、精算機で精算した。
定期券、精算額を記載された切符が出てきた。
一番最後にお釣りが出て、財布に戻したのだ。
自動改札に精算額を表示されたキップを投入した。
改札を出て、横浜市営地下鉄のホームに向かって行く。
仕事が遅くまでやったときや、休みの日で、はるかと待ち合わせするとき、東海道線を使うが、横浜駅から戸塚駅に向かう場合は、戸惑いを感じずに居られなかった。
「降り慣れていないため、どこの階段を使えば判らない。人の流れに付いて行こう!」
改札を出た…人の流れが、右側に流れて行く。
木嶋も、その流れを見失わない必死で追いかけている。
階段を降り、横浜市営地下鉄の改札が見えてきた。
券売機は、直ぐ近くにあった。
木嶋は、会社の最寄り駅から帰るとき、戸塚駅までの金額が分かっていた。
「戸塚駅から会社の最寄り駅まで、260円!」
Gパンのポケットから財布を取り出し、小銭を出した。
木嶋は、自動券売機からキップを取り、改札口を通ったのであった。