第257話
「明日が来なければいいのに…」木嶋は、そんな心境に駆られていた。
家の敷地に入った。
雨が…
【ポツリ、ポツリ】と降り始めていた。
《今日は、雨が降る予報は出ていたかな?》
毎朝、日本テレビ
【ズームインSUPER】の天気コーナーを見てから家を出て来るのだが、この雨は、木嶋の心を暗示していた。
本来なら…心は、快晴なはずである。
何故…【雨模様】なのだろう?
家のドアを開けた。
「やれやれ…」ため息が漏れてしまう。
朝、ご飯を食べながら、新聞を読んでいるが、時間がないため、パラパラとめくる程度である。
家に帰ると…
朝刊、夕刊を交互に、目を通すのである。
会社へ通勤するときは、
駅の『KIOSK』で…
《スポニチ》を…毎日、購入している…
家では、《日刊スポーツ》である。
どのスポーツ紙も、似たような記事がたくさんある。
普段は、何気なく、飛ばして読んでいる記事も、良く目を通すと、意外な発見がある。
一般紙は、東京新聞を読んでいる。
一時期、朝日新聞を読んでいたが、東京新聞の活字が目に優しく読みやすいため、いつしか…愛読紙に替わっていた。
木嶋の家族は、両親の田舎や、それ以外の地域に旅行に行くことがある。
飛行機は使わずに、車で移動する。
車だから…自由気ままに、色んな…サービスエリアに止まり、衝動買いも多い。
旅行に出かけると、その土地の《グルメな食べ物》、《飲み物》に目を奪われてしまう。
観光名所に回るのは、人から見れば下手なのかも知れない。
毎日、スポーツ紙を読んでいるので…一日でも欠かすと、
アレルギーみたいなものが出て来てしまう。
いわゆる【スポーツ紙中毒】である。
両親の田舎に帰省すると、近くにコンビニがないため、車で移動しなければならない。
最寄りの駅も、歩くと…20分掛かる。
往復で、40分。
良い運動になる。
坂も、上りが、《キツイ》ため、木嶋が、陸上の練習不足や日頃の運動不足解消には…うってつけの場所であった。
食事を終えて、携帯を充電していた。
すると、メールの着信を知らせる…サインが出ていた。
「何か…メールを見るのが怖い。」
木嶋は、恐る恐る…ディスプレーを覗く。
玲からであった。
「何だ…脅かさないで欲しいよ!」安堵な表情であった。
メールを開いた。
「木嶋君、お久しぶり。彼女と別れたが…また、付き合うようになったと、麻美さんから聞いて…ビックリしているんだ。本心が解らないと思うので、一人で…私のいるクラブ『O』に来て、話しをしましょう!アドバイスぐらいは出来るからね!近いうちに、日にちを決めて連絡を下さい!」
木嶋は、
「麻美さん、余計なことを…玲さんに話して…ややこしくなるな!」ボヤきながらも、本音は、嬉しいのであった。
麻美と付き合いは長いが、玲は、同じ夜間高校の同級生で話しをするのも、ベストな環境である。
「明日は、麻美のクラブ『U』、来週末は、はるか。再来週に玲のクラブ『O』。身体が、いくつあっても足りないな!もう一度…手帳で予定と金銭面を確認しよう!飲み歩いて…身体を壊しても、元も、子もない!」
木嶋は、寝床に入り、リュックを手に取り、手帳を取り出したのであった。