第247話
「自分の思考回路の答えは、木嶋君が、彼女に利用されていると、弾き出されたよ!」大森さんは、木嶋に話していた。
大森さんの答えを聞いた木嶋は、
「はるかさんの、頭の片隅には、木嶋君のことは、これっぽっちも…考えていないすよ。あるとすれば、どうやって利用しようかなと思っているのでは…!」麻美の店…クラブ『U』で、毎回、言われていたことを思い出していた。
ここで、木嶋が、大森さんに、どんなに否定をしても、
【ヤッパリね】
そう言われるのが怖いのであった。
《そうなのかな?》納得したように、見せかけるしかないのだ。
昼休みの終わりを告げる予鈴のチャイムが、
「キーン、コーン、カーン、コーン」と鳴り響いていた。
木嶋は、
「ホッ…」とした、安心感が漂っていた。
これ以上…
大森さんにツッコまれて、【ボロ】が出るよりも良かった。
午後の仕事に、
「もうひと踏ん張りだ。」前掛けをして、トイレの鏡に自問自答をしていた。
自問自答していた木嶋の元に、三谷さんが、何やらニヤニヤして歩いて来た。
木嶋は、ふと不安げに…嫌な予感が過ぎっていた。
「三谷さん、何…ニヤニヤしているの?」聞いていた。
三谷さんは、
「木嶋が、大森と会話をしていたのを聞いていたんだよ!」木嶋に問いかけたいた。
木嶋は、
「全部、聞いていたの?」三谷さんに尋ねてみると…
三谷さんは、
「最初から聞いていないよ…途中からだよ!大森の話しを総合すると、言っていることに、一理があるかなと…木嶋のことを思っているかな?と感じたよ。」木嶋に伝えたのだ。
木嶋は、
「三谷さんは、自分が、フラれたと認識しているの?」三谷さんに問いかけていた。
三谷さんは、
「そんなことを、自分が、木嶋に言っているんじゃないんだ。利用されていると判ったら…自分自身が惨めになり、プライドが傷付くじゃないか?」あまりにも、強い口調で木嶋に答えていた。
「はるかに…利用されているのだろう?何て…言える勇気があるはずがない。」
木嶋も、薄々(うすうす)感じているのかも知れない。
はるかは、
「そんなことを、考えていないよ?ある訳ないんじゃん。友達だと…ずーと言っているのに…」木嶋にそんな答えが返って来そうである。
はるかが、本当に別れるのだろうか?
今朝の留守電だけでは、判断がしずらい。
【考えれば、考えるほどに悩み、蟻地獄にはまり込んでしまいそうである。】
それが、間違いであって欲しいと、ただ願うだけなのである。
ただ、留守電の内容が、今一、的を得ていないと感じていたのも事実である。
いつまでも、三谷さんと話していても、解決にならない。
「三谷さん、時間があるときに話しをしますよ!」三谷さんを納得させる口調で話したのであった。
木嶋は、内心「ホッ…と」したのであったと同時に…
「時間が経てば、忘れるはず…」そう思い込んでいた。
本鈴のチャイムが、
「キーン、コーン、カーン、コーン」鳴っていた。
木嶋と、三谷さんは仕事を始めた。
普段と変わらない表情で仕事をしていた。
「何かが…違う。」
いつものテンションの高さが、木嶋に無くなっていたのであった。
小室さんが、
「木嶋、元気か?」言葉を掛け、木嶋と三谷さんの横を通り過ぎて行く。