第245話
木嶋は、昨日の疲れが…顔に出ていた。
「ヤバイな!溝越さんが話した通りの展開になってきたぞ。」溝越さんの不安が的中、三谷さんも同じ思いで木嶋を見ていた。
「何とか…昼休みまで持たさないと…。」
木嶋は、顔を《パシパシ》叩きながら、気力を振り絞り、仕事をしていた。
「キーン、コーン、カーン、コーン」
昼休みを告げるチャイムが鳴っていた。
「今日は、チャイムに救われたかな?」木嶋はそう感じていたのだ。
「昼食を食べてから、富高さんの現場に向かわなければ…」駆け足で食堂へ小走りして行く。
最近、会社の食堂は、
メニューも豊富になり選ぶ楽しみも増えていた。
ラーメン、そばなどは日替わりになっている。
木嶋は、
「本音を言えば、定食を食べたいが、並んでいる人がたくさんいる。今日は、めん類にしよう!」
めん類のコーナーに並んだ。
朝は、肌寒く感じたが…時間の経過と共に暖かく感じていた。
木嶋は、作業服のポケットに入れていた携帯を取り出した。
携帯の受信メールボックスを覗くと、新着メールが届いていた。
「誰だろう!」受信メールボックスをスクロールした。
「麻美さんからか…」
恐る恐るメールを開いた。
「木嶋君、おはようございます。メールを読みました。《結論から言うと…やっぱりね!》って感じだね…私が言っていた通りなってしまった。今、ショックを受けているのではないでしょうか?はるかさんが全てではないですよ。世の中には、素敵な人がたくさんいます。いつかは見つかるよ。いい勉強になったんじゃないかな?」
木嶋は、
「予想通りだった…と、言うべきかな?」そんな思いで麻美のメールを読んでいた。
「返信はどうしようかな?」考えあぐねながら、
「富高さんの現場に言ったあとに、メールを送信しよう!」結論を出したのであった。
ラーメンとライスを取り、いつもの指定席に座った。
人は、面白いことに決まった席に座らないと調子が悪くなるのである。
木嶋も、電車でも同じことが言えるのだ。
指定席に座り、携帯の受信メールボックスを覗くが、麻美以外からのメールはなかった。
ラーメンを食べながら、ライスを口に入れた。
左腕にしていた腕時計で時間を確認した。
「もうこんな時間か…?」
午後12時20分を過ぎていた。
「急ごう…」
木嶋は、オボンを持ち、片付けながら精算をした。
階段を下り、富高さんの現場に向かった。
「富高さん…」木嶋が、富高さんに声を掛けた。
「木嶋君…」富高さんが、木嶋に言葉を返した。
「昨日は、遅くまで申し訳ないです!」木嶋は、富高さんに頭を下げた。
「気にしなくていいよ!あのあと、はるかさんから、連絡が入ったかな?」富高さんは、木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「連絡はあったよ。《今日は、ありがとうって》それ以外は、特にないよ!」富高さんに答えていた。
富高さんは、
「それならいいんだ。あとは、木嶋君が思いを伝えれば…はるかさんに思いを打ち明けられるように…。」木嶋に話していた。
木嶋は、
「そうなればいいね!」富高さんに伝え、
「はるかに、フラれたなんて…今の時点では話すことが出来そうにない!帰り道に話そう!」そう決めたのであった。
「木嶋君は、寝れたかな?」富高さんが、木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「普通に寝れたよ!富高さんは…?」富高さんに聞いていた。
富高さんは、
「家に帰ってから、直ぐに寝たよ!」木嶋に答えたのであった。