第238話
男性店員さんが、木嶋の元に、はるかを連れて来た。
あんなさんが、席を立ち上がり、
「木嶋さんの待っていた人が来ましたね。短い時間でしたが…とても楽しく過ごせて頂き、ありがとうございました。また、クラブ『H』に来て下さいね!約束ですよ!」木嶋に伝えたのだ。
木嶋は、
「分かりました。次回、クラブ『H』に来たら、あんなさんを指名しますよ!」あんなさんに話していた。
あんなさんは、木嶋の言葉を聞いて…安心した表情で去って行った。
「お待たせしました。はるかさんです。」男性店員さんが、木嶋に声を掛けたのだ。
木嶋は、
「ありがとうございます。」男性店員さんに、頭を下げたのだ。
はるかが、木嶋の右横に座った。
「随分…待ったのかな?」はるかが、木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「かれこれ…1時間以上…待ったのかな?その間、先ほどまで座っていた…あんなさんと話していたら…盛り上がったよ。」はるかに答えていた。
はるかは、
「ゴメンね!私のお客さんが、たくさん来店していて…今日が、《ラストイン》のことをメールや電話で話していたら、指名が数え切れないくらい重なってしまって…木嶋さんに申し訳ないです。」木嶋に、頭を下げていた。
木嶋は、
「仕方ないよね!みんなが、はるかさんに会いたいのだから…もっと、待つなら帰ろうかと思っていたんだ。」はるかに話していた。
はるかは、
「かなり…無理をさせてゴメンね!私が、頼んだ物は持って来てくれたかな?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「依頼された物は、持って来たよ。時間の制約があったので、花束ではないが…鉢植えだけどね!」はるかに伝え、
「長い間…お疲れ様でした。」席の横に置いてあった胡蝶蘭を渡した。
「木嶋さん、ありがとうございます。」はるかは、にこやかな表情を浮かべながら、
「他のお客さんから貰うよりも、木嶋さんから頂くプレゼントが、最高に嬉しいですよ。いい値段をしたのではないですか?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「ありがとうございます。値段は、チョット…高かったね。確か…1万円ぐらいかな?」はるかに答えていた。
はるかは、
「横浜駅で、買って来たのですか?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「はるかさんの右横にいる…富高さんに聞いて下さい…。」はるかは、まだ、富高さんの存在に、気が付かないので振ってみた。
すると、はるかは、右横に…顔を向けた。
「富高さん、お久しぶりです。この胡蝶蘭は、どこで買われたのですか?」富高さんに聞いていた。
いずみさんと話しをしていた、富高さんは、
「あっ…はるかさん、お久しぶりです。その花は、木嶋君が、上司に頼んだみたいだよ。」はるかに伝え、続けて…
「何だか…今日が、はるかさんの《ラストイン》だと…木嶋君から聞いたのですが、本当ですか?」確認をしていた。
はるかは、
「今日が、《ラストイン》と言うのは、本当ですよ。そちらの方のお名前を教えて頂いてもいいですか?」富高さんの右横にいた…いずみさんに声を掛けた。
いずみさんは、
「初めましてかな?『いずみ』と言います。よろしくお願いします。」はるかに、軽く会釈した。
はるかも、
「初めまして…『はるか』と言います。よろしくお願いします。」いずみさんに頭を下げたのだ。
いずみさんは、
「話しは、富高さんから伺っています。今日が、《ラストイン》なのですね?せっかく…知り合えたのに、何故?辞めてしまうのですか?」はるかに聞いていた。
はるかは、
「4月から、社会人として就職するので、この世界を卒業しようと…今、おいくつですか?」いずみさんに、年齢を尋ねていた。
いずみさんは、
「18です。はるかさんは、おいくつですか?」はるかに、逆質問をしていた。
はるかは、
「私は、20です。先月…成人式を終えたばかりですよ!」いずみさんに答えたのだった。
「そうなんですか?成人式とご卒業…おめでとうございます。」いずみさんは、はるかにお祝いの言葉を述べたのであった。