第236話
木嶋は、
「自分に、あんなさんの残像が残るくらいに強烈にしないと…」あんなさんに話したのだ。
「強烈にですか?」木嶋の答えを聞き…
あんなさんが、
「フー」と、ため息をつき、肩を落としていた。
富高さんは、いずみさんと、会話が弾んでいて、時折笑顔が見受けられていた。
木嶋は、
「富高さん、楽しんでいる?」富高さんに声を掛けた。
富高さんは、
「楽しんでいるよ!」木嶋に答えていた。
「いずみさんでしたよね!初めてまして、木嶋と言います!」木嶋の右横にいた、いずみさんに挨拶した。
「初めまして、いずみです。富高さんから、話しを伺いました。今日、はるかさんのラストインって聞いて驚きました。」いずみさんが、木嶋に伝えた。
木嶋は、
「そうなんですよ!はるかさんと、いずみさんは、接点は、ありますか?」いずみさんに尋ねていた。
「このクラブ『H』で、仲良くしている人は、いません!ロッカーで、着替えているときに話しをするぐらいですかね!みんなが、ライバルですから…」いずみさんが、木嶋に話したのであった。
木嶋は、
「ライバルね!」妙に、納得した顔になっていた。
「あんなさん、チョット…トイレに行きたい。」木嶋が、あんなさんに伝えた。
あんなさんは、
「木嶋さん、トイレの場所は…分かりますか?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「判ります。ありがとうございます。」あんなさんに答え、席を立ち…歩き出した。
店内を少し…見渡した。
「はるかは、どの辺りにいるのだろうか?」
不安になるのも無理はない。
はるかを指名したときに、男性店員さんが、
「かなり…重複しています!」
頭の中では、理解していても、その言葉を、どのように捉えていいか…考えれば考えるほど、深みに嵌まりそうであった。
木嶋の席から、離れたところにいた。
その表情を見たとき、安堵感が漂っていた。
「あと…どれくらいしたら、自分の席に来るかな?早く、会話がしたいな!」
心の中で浮ついていた。
トイレから、自分の席に戻る足どりが、軽快なステップに代わっていた。
木嶋は、自分のいた席に戻った。
あんなさんが、
「木嶋さん、お疲れ様です。」そっと…おしぼりを、木嶋に手渡した。
木嶋は、
「ありがとうございます!」あんなさんに、言葉を返したのであった。
「木嶋さん、先ほどから表情が変わりましたね!」あんなさんが、木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「そうかな?そんなことは…ないと思うよ。」冷静を装い、あんなさんに伝えた。
あんなさんは、
「やはり…はるかさんが、気になっていたんだ。まだ、私では、まだ役不足ですかね?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「う〜ん。」唸り声を上げていた。
富高さんの右横にいた、いずみさんが、
「木嶋さん、どうしたのですか?」木嶋に尋ねた。
木嶋は、
「何でもないですよ!」いずみさんに、返す言葉を見つからずにいたのであった。
富高さんは、
「木嶋君は、はるかさんのことで頭が一杯みたいだよ。」いずみさんに答えたのだ。
木嶋は、
「富高さん、ありがとうございます。」富高さんに声を掛けたのであった。
右横の腕時計を見ると、時刻は、午後10時を過ぎていた。
「明日のこと、金銭面を考えると、これ以上、ここにいる厳しいな!」悩み出してしまった。
木嶋は、右手を上げ、近くにいた…男性店員さんを呼んだ。
「はるかさん、まだ、こちらの席に来ることは出来ないのですか?」木嶋は、男性店員さんに聞いていた。
男性店員さんは、
「はるかさん、今日が、ラストインですから、色んな席のお客さんに挨拶に行っているので、こちらに来るのが遅れて申し訳ありません!」木嶋に頭を下げたのだ。
木嶋は、
「自分も、明日、会社があるので、クラブ『H』を出ないと行けないので、何とか…融通をして戴けませんか!」男性店員さんに話したのであった。