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第23話

はるかと別れた木嶋は、東急ハンズに歩いていた。

木嶋は、東急ハンズに行く機会はあまりなく、地元にはない。店内を見渡し、仕事で使う道工具を見ていた。

携帯の画面を見ると、アンテナ部分が圏外になっていたのだ。

木嶋は、

「ここは、携帯が通じないのか?参ったな!(DOCOMO)なら通じるのかな?」呟いていた。

木嶋の携帯は、(J-PHONE)だったので通じなかったのだ。

木嶋は、自分自身に言い聞かせながら時間ときが過ぎて行く。

どれくらい経ったのだろうか?左腕にしていた腕時計で時間を見た。すると、1時間が経過していたのだ。

店の外に出た木嶋は、はるかに電話をしたのだった。

「プルッ、プルー、プルー」呼び出している音が聞こえる。

はるかが、電話に出た。 「木嶋さん、どこにいるのですか?何回も電話をしたのですが、通じませんでした。」

木嶋は、

「自分の携帯は、東急ハンズの中では電波が届かずに圏外になっていました。今は、外に出て話しています。」

はるかは、

「木嶋さんは、何か欲しい物はあったのですか?」木嶋に、聞いていた。

木嶋は、

「会社で使う道工具を、買いたいなと考えています。」はるかに、話していた。

はるかは、

「私も、欲しい物があるのですが、今回は、遠慮して次回にします。木嶋さん、これから夕食を食べませんか?」

木嶋は、

「そうだね。食べましょう。何にするかは、はるかさんに任せます。決まったら携帯を鳴らして下さい。」はるかに、伝えた。

はるかは、

「判りました。」電話を切ったのだった。

木嶋は、

「はるかさんとは、友達として付き合っているのはいいが、スタイルもいい、性格もいい、彼女にしたいな。」心の奥底では、いつか告白をしようと考え始めていた。

木嶋は、何年もの間、彼女を作っていない。また、陸上を通じて他の会社の人たちとの付き合いもあったが疎遠になっていた。

気がつくと、木嶋も、30代前半である。結婚願望は若いときからあったのだ。

中学を卒業して、今の会社に、居ながら夜間高校に通った。学校の後輩と付き合っていた時期はあったが、長続きはしなかった。木嶋自身も、いつかは、彼女が見つかるはずと、楽観的に考えていたのだった。

会社の研修などで、出会いもあったが、消極的な性格が災いをしてしまって、押さなければいけないのに、引いてしまったのだった。

人には、【チャンス=好機到来】と捕らえることが出来るか出来ないかの違いで、運命が決まってくると思っていたのだった。

悲しいことに、木嶋には、【チャンス】があったにも関わらず、それをモノにすることが出来ない自分に、苛立っていた。

木嶋は、クラブ『H』に仲間と行った日、《麻美》が木嶋の席に、最初は座ったが何故か?【インパクト】が薄く、あとから、座った《はるか》に強烈な【インパクト】が残っていたのだった。

木嶋は、会社の最寄り駅近くで飲みに行っても、はるかほどの残像が残る人は、今まで居なかったのだ。

はるかへの思いが強くなり始めても、不思議はなかった。

木嶋の携帯が、

「ピローン、ピローン、ピローン」と鳴っている。はるかからだった。

「木嶋さん、お待たせしてすいません。どこで食べましょうか?」

木嶋は、

「どこでもいいよ。」はるかに、言葉を返した。

はるかは、

「魚が食べたいので、いつも入るカフェレストラン近くにあります魚料理の『U』にしませんか!」木嶋に、問い掛けた。

木嶋は、

「いいよ。そこにしましょう。」魚料理の『U』に向かった。

木嶋が、先に暖簾のれんをくぐり、2Fに上がり、テーブル席に座り、

店員さんに、

「2人ね。」と声を掛け、はるかに電話をした。

「2Fにいるよ。」木嶋が電話で、はるかに伝え、はるかが、来るのを待っていた。

木嶋から少し遅れて、はるかが上って来た。

「凄い人だね。」はるかが、木嶋に言ったのだ。

木嶋は、

「自分も、店に入って、人の多さに驚いたよ。メニューを見て、好きな品物をオーダーしていいよ。」

はるかは、

「ありがとうございます。お寿司と焼き魚が食べたいのでオーダーしてもいいですか?」木嶋に、尋ねた。

木嶋は、

「了解しました。焼き魚は、ホッケでいいかな?自分は、刺身をオーダーします。」店員さんを呼び、はるかと木嶋のリクエストをオーダーしたのだった。

料理が、運ばれて来た。程よい味付けと寿司が美味しかった。

2人は、満面の笑みを浮かべながら食事をするのであった。

木嶋は、はるかと一緒にいることが最高の時間ときだと思っていたのであった。

食事が終わり、はるかが、

「木嶋さん、そろそろ帰りませんか?」木嶋に、話した。

木嶋も、

「はるかさん、帰りましょうか!」はるかに、伝えた。

帰り支度をして、木嶋は、会計カードを持ち、はるかは、ホワイトデーのプレゼントを大切に右手で持って、魚料理『U』の暖簾のれんから出て、雑踏の中に2人は、横浜駅に歩き出したのであった。

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