第228話
木嶋は、富高さんを見つけ、
「富高さん、今日は、残業ですか?」声を掛けた。
富高さんは、
「あっ…木嶋君、少し前に来たって、自分の職場の人に聞いていたよ。《すれ違いで…ゴメンね!これから、木嶋君の職場に行こうと思っていたんだ。」木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「すれ違いだったのは、仕方ないよ。」富高さんに答え、続けて…
「今日、富高さんは、残業かな?」木嶋は、富高さんに聞いていた。
「残業だよ。木嶋君は、溝越さんに、今日のことは話してあるのかな?」富高さんは、木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「溝越さんに、今日、富高さんと一緒に行くと話しをしています。」富高さんに伝えたのだ。
富高さんは、
「あっちの方は、大丈夫なのかな?」木嶋に問いかけていた。
あっちとは…はるかに渡す…胡蝶蘭の花のことである。
木嶋は、
「夕方5時に、会社に届くみたいだよ!溝越さんと一緒に、自分が受け取りに行く予定です!」富高さんに伝えた。
富高さんは、
「じゃあ…大丈夫だね。木嶋君、はるかさんのラストインで緊張しているのかな?」
「何だろう…緊張と言うのか?張り詰めた…糸が、『ピーン』と切れる…みたいな感じだよ。」木嶋は、富高さんに話していた。
「木嶋君で、そう感じるんだ!自分も分かるよ。今まで、はるかさんで、散々(さんざん)苦労しているのを間近で見てきたからね。」木嶋に問いかけるように話していた。
木嶋も、
「そうだね。やっと、苦労が報われるかと思うと、肩の荷が下りて嬉しいね!まだ、何か…裏が有りそうな気がするよ。」富高さんに、答えたのだ。
その言葉を聞いて、富高さんは、頷いていた。
【もしかしたら…一波乱あると思っている。】木嶋は、そう思っていた。
木嶋も、はるかに、
【さよなら】を告げられるのかも知れないと…
考えれば…考えるだけ悩んでしまいそうである。
時には、楽観的になるが、悲観的になるのだ。
人は、喜怒哀楽あるのは、当たり前である。
富高さんは、
「もし、自分の仕事が早く終わったら、木嶋君の職場に行くよ。」木嶋に問いかけ、
木嶋は、
「そうだね。自分も仕事が早く終われば、富高さんの元に伺います。それでいいよね?」富高さんに話したのだ。
富高さんは、
「それでいいよ。また、後で…。」木嶋に手を挙げ、
木嶋は、
「よろしく…」富高さんに伝え、職場を離れて行った。
腕時計の時間を確認すると、
「もう…こんな時間か…?」
チャイムが鳴る…3分前である。
木嶋は、溝越さんのいる休憩所に、小走りで向かって行く。
溝越さんがいる場所に着いた。
「富高が、残業か?どうかは聞いてきたのか?」溝越さんは、木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「回答.ありました。残業をしてから、クラブ『H』に行くと連絡を受けました。」溝越さんに答えたのだ。
溝越さんは、
「木嶋が、残業が出来る?出来ない?の判断は、本人の自主性を尊重するから、いつもの時間に連絡を下さい。」木嶋に伝え、
今いた場所から、自分の机に歩いていく。
木嶋は、自分の作業する場所まで、俯きながら…歩いていた。
「富高さんも、残業だし、職場の生産は多いから、三谷さんや他の人たに迷惑をかけられない。残業をしないといけないな!」気持ちを引き締め、決断をした。
あとは、午後の仕事が始まってから、溝越さんに伝えることを決めたのであった。
「あと…半日か…」木嶋は呟くのであった。
チャイムが、
「キーン、コーン、カーン、コーン」工場内に鳴り響いていた。