第220話
木嶋は、富高さんと別れ、階段を下り、ホームで待機していた…右側の車両の座席に座った。
発車する電車によって、長椅子シートの車両と対面式シートの車両とある。
一年間を通じて、会社から帰宅して帰ると、長椅子シートの車両に座る機会が多く感じていた。
会社に向かうときは、断然、長椅子シートの車両が多い。
会社の最寄り駅が、始発着の起点となっていて、時間によって、快速運転しているので、対面式シートが多い。
「ガタン、ゴトン」動き出した。
揺られながら、心地好い気持ちになっていた。
トンネルを出て…
木嶋の携帯が…
「プルー、プルー、プルー」と鳴っていた。
携帯の画面を見た。
溝越さんからのメールの着信であった。
木嶋は、すかさず…メールを開いた。
「木嶋、今日は、お疲れさま。先ほどの話しだが…胡蝶蘭…水曜日に会社へ届けて頂くので、何時ぐらいなら、受け取るのがベストだ。」
「溝越さん、ありがとうございます。」心の中で感謝しつつ、
「そうですね…会社の昼休みが一番いいですね!大体…12時20分過ぎなら、警備室で待つことは出来ます。」溝越さんにメールを送信した。
木嶋が、メールを送信した直後に、
再び、トンネルの中に入った。
「ガタン、ゴトン」
トンネル内で、
「ゴー」と音を響かせていた。
電車が、トンネル内で、風を切っている音であった。
トンネルを抜け、次の駅に着いた。
そのとき、一通のメールを受信した。
受信ボックスからメールをスクロールした。
はるかからであった。
「木嶋さん、先ほどは、電話とメールしてすいませんでした。メールは、読んで戴けましたか?もし、良かったら返事を下さい。お願いします。」木嶋は嬉しくなっていた。
木嶋は、頭の中で整理しながら、メールをする内容を思案していた。
「はるかさん、メールを送って頂きありがとうございます。花の話しは、自分の上司に頼みました。先ほど、連絡がありまして…当日、クラブ『H』に持って行けそうです。楽しみに待っていて下さい。」はるかにメールを送信した。
あとは、はるかからの回答待ちであった。
気がつくと…乗り換え駅の一つ前の駅であった。
「もう…こんな時間になっていたのか…?」木嶋は、メールをする仲間が数少なく、
はるか、玲、麻美とメールをしているが、休み時間や移動中しか送れないのが、悩みの種である。
普段から、指を動かさないので、慣れるまでに時間が掛かりそうである。
乗り換え駅に着いた木嶋は、
先に停車していた急行…横浜行きの電車に乗った。
「プルー」発車ベルが鳴った。
ドアが閉まる前に、慌てて…飛び乗った。
JRと相鉄線の違いは、
JRは、発車ベルが鳴り、ドアが閉まるまでの時間は短い。
その為、駆け込み乗車が多く、足を引っ掛けて、ホームから線路に店頭する人が多数いる。
相鉄線は、会社の最寄り駅で、ドアが閉まる直前に、一度、ドアが開くことがある。
木嶋も、何度か?乗り遅れそうなことも、多々(たた)あった。
電車が完全にホームから離れてしまったら、諦めて…次の電車で行くことは、稀にある。
山手線などは、
【ホーム柵】を設置しているところもある。
これは、一種のホーム転落防止柵でである。
木嶋は、横浜駅に着いたら、京浜東北線や東海道線のどちらのルートにしようと悩むのであった。
到着時間で計算すると、東海道線で帰ったほうがいいのだ。
富高さんは、木嶋よりも早くに横浜駅を通過していた。
木嶋も、何度か…横浜市営地下鉄で帰宅したことはある。
相鉄線で帰るよりも、一本前の電車に乗れるため、急いで帰るときは、こちらを利用するのであった。