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第214話

京浜東北線が、横浜駅に着いた。

木嶋は、

「慌てて行っても、この時間では、いつもの電車に乗れない。ゆっくり行こう!」

階段を降り、改札口に向かった。

毎日の光景こうけいだが、JRの改札口から、相鉄線の改札まで、走って行く人、エスカレーターを駆け降りる人が数人いる。

「何故?みんな慌てて走ったり、駆け降りて行くのだろう…?」木嶋は、以前から不思議に思っていた。

木嶋が、一時期、会社で、夜勤をやっていたが、

「みんなが、走ってまで、電車に乗る気持ちが分かったのだ。」

通勤ラッシュは、木嶋が、横浜駅に着いた瞬間から、もう、すでに始まりのゴングが鳴っている。

朝は、上りも、下りも電車の本数が少ない。

体力を使いたくない人は、座席に座って上り方面に通勤して行く。

それが走ってでも、ホームに行き、整列乗車したいのであった。

木嶋の場合は、横浜駅から自分の家の最寄り駅まで、そんなに時間は掛からない。

ただ、夜勤明けの朝は、早く家に着いてゆっくりしていたいのだ。

富高さんは、千葉の船橋から通勤しているが、毎日、座席に座ってこれるので、身体の疲労を考えると、まだ、楽な方ではないかなと思う。

相鉄線の改札口を通り、階段を、一段飛びで上がって行く。

ホームに着いた木嶋は、電光掲示板を見た。

「えっと…次の電車は…6時45分か…会社の送迎バスの発車まで、間に合うだろうか?」少し…心配な表情を見せつつも、

るようにしからない…と」はらくくっていた。

普段は、この一本いっぽん前の電車で通勤している。

「間もなく…電車が参ります。黄色の線の内側に下がってお待ち下さい。」

ホームのアナウンスが聞こえていた。

「パーン」

クラクションを鳴らしながら、電車が、入線している。

「プシュー」

乾いたエアーの音が、構内に響く。

奥のドアが開き、乗っていた人たちが降りていく。

「プシュー」と、手前のドアが開いた。

ここでも、ドアが開いた途端とたん、階段を降り、JRの改札口に向かって行く人たちがいる。

木嶋は、整列していた場所から、ゆっくりと長い座席から座る場所を探し腰を下ろした。

【いつもと、微妙に雰囲気が違う。】

それは、電車が一本後 (いっぽんあと)である。

同じ車両でも、時間が違えば違和感が生まれるのは当然である。

車内アナウンスが、

「進行方向…右側、ドアが閉まります。」ドアが閉まった。

日本経済新聞を広げ、

発車ベルが、

「プルー」と、こだましながら、進行方向の左側のドアが閉まり、

「ブーン」

電気が流れている音が聞こえ、電車が走り出した。

新聞を読んでいても、なかなか落ち着かない。

電車にって、乗り換え駅までの時間が、微妙に違う。

平均すると、13分ぐらいかも知れない。

乗り換え駅に着いた木嶋は、反対側のホームで待機していた普通電車に乗った。

同じ位置の車両の座席に座り、新聞をリュックに入れ、手摺りに頭を預けて…目をつぶった。

朝は、一人で通勤しているので、少し…寝不足もあり、座席下ざせきしたからの暖房が効いているせいか、会社の最寄り駅に着くまでのあいだ、休めることが出来るのであった。

最寄り駅近くになると、トンネルに入るので、自然と目を開く習慣がついていた。

駅に着き、

「プシュー」ドアが開いた。

ホームに降り、階段を上がって行く。

陸上を辞めてから、トレーニングする機会がなくなり、体力の低下に歯止めをかけるには、階段を毎日、上がって行くことを日課としていた。

また、木嶋が、夏バテしないのも、これがあるのだ。

陸上をやっていた時は、仕事終わりに、30分から1時間ぐらい会社の周回を走っていたことが懐かしいと思うのであった。

改札を出て、会社の送迎バスの停留所ていりゅうじょに行くまで、もう一度、階段を上がらなくては行けない。

最初は、

「何で…キツイ思いをしないといけないのか?」

毎日、紛糾ふんきゅうしていた。

慣れというのは、恐ろしいものである。

《キツイ!》と思っていたのが、当たり前になって行ったのであった。

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