第210話
さっきまでいた、コーヒーショップ『Y』から一番近いのが、ここ回転寿司『I』であった。
だが、はるかは、待ち合わせ場所の回転寿司『I』に来ていない。
不安になりながらも、木嶋は、はるかが、来るのを、
《今か…?、今か…?》と待っていた。
【店先で、待つよりも、中に入って待とうか?】ボヤきながら…迷いが出ていた。
木嶋は、携帯を取り出し、
「はるかさん、先に、回転寿司『I』の中で、待っていますよ。」はるかに、メールを送信した。
自動ドアのボタンを押し、ドアが開いた。
「いらっしゃいませ」
女性店員さんの声が、聞こえて来た。
木嶋は、
「あとから…1名…来ますので、2名でお願いします!」女性店員さんに伝えた。
「ただ今、満席ですので、こちらの、イスに座ってお待ち下さい。」女性店員さんが、木嶋に声をかけた。
木嶋は、ゆっくりと…腰をイスに下ろした。
先に…カウンター席に座っていたお客さんが、会計伝票を持ち席を立ち上がった。
木嶋は、座っていたイス席から立ち上がり、先ほど空いたばかりのカウンター席に座り、リュックを足元に置いた。
携帯が、
「ピローン、ピローン、ピローン」鳴っていた。
木嶋は、携帯を取り出し、
「もしもし、木嶋です。」
「はるかです。今、回転寿司『I』の中にいますか?」はるかが、木嶋に尋ねた。
木嶋は、
「そうです。回転寿司『I』の中で、今、カウンター席に座ったばかりですよ。早く、来て下さい。」はるかに伝えた。
はるかは、
「は〜い。分かりました。今から行きま〜す。」木嶋に話し、電話を切ったのだ。
木嶋は、日常のことだと割り切ってはいるが、毎回、同じことをされていると、
《やるせない気持ち》になっていた。
自動ドアが開いた。
はるかが、
回転寿司『I』に来た。
「カッ、カッ、カッ」と靴の音。
空いていた木嶋の隣りに座った。
「待たせて…ゴメンね。」はるかが、木嶋に話した。
木嶋は、笑顔を見てしまうと、
「たまには、良いのではないですか…?早く来てくれないと困りますけど…。」はるかに怒りのを止めた。
「木嶋さん、何か…オーダーしたのですか?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「これから、オーダーしようと考えていました。何を、オーダーしますか?」はるかに伝えた。
「何にしようかな…?アジとブリをお願いします。」木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「了解しました。アジとブリですね。自分は、大トロと赤貝にしようかな?」はるかに答えた。
目の前にいた…板前さんに、
「大トロと赤貝、アジ、ブリをお願いします。」オーダーしたのだ。
「大トロと赤貝、アジ、ブリですね!ありがとうございます。」言葉を返した。
湯呑みに、お茶のティーパックを入れ、小皿に醤油をたらし、割り箸を取った。
オーダーしたのが来るのを、気長に待っていた。
「お待たせしました。最初は、大トロとアジです。」板前さんから、寿司皿を受け取った。
「はるかさん、アジです。」
寿司皿を、はるかに渡した。
はるかは、
「ありがとうございます。木嶋さん、大トロを一貫交換しませんか?」木嶋に尋ねた。
木嶋は、
「交換しましょう。」
大トロを一貫と、アジ一貫、交換したのであった。
はるかは、
「ありがとうございます。」木嶋に声を掛けた。
続けて、
「ブリと、赤貝です。」板前さんから、受け取った。
「はるかさんのブリです。」はるかに話していた。
はるかは、
「私は、赤貝がダメなんですよ。」木嶋に伝え、
木嶋は、
「赤貝は、全部食べちゃいますよ!」はるかに話した。
「は〜い。」はるかの元気な声で、言葉を返したのであった。