第208話
木嶋と、はるかは、関内の大通りに出た。
コーヒーショップ『F』に来るときと同じように、歩行者信号が、赤だったので、青に変わるのを待っていた。
木嶋は、
「はるかさん、今日、何を食べたい!」はるかに聞いていた。
はるかは、
「何にしようかな?木嶋さんは、何がいいですか?」木嶋に問いかけていた。
「いつも、カフェレストランを利用している機会が多いので寿司にしようかと思っていたのですが…!」木嶋は、はるかに答えていた。
はるかは、
「寿司ですか…?今は、回転寿司が主流ですからね。それにしますか?最近、私は、高カロリーの食事をしているので、魚介類を食べたいなと考えていたのです。」
木嶋に話したのだ。
歩行者信号が青に変わり歩き始めた。
「木嶋さん、ここから乗り場が近いので、市営地下鉄で行きませんか?」はるかは、木嶋に聞いていた。
「そうですね。市営地下鉄の乗り場が近いのなら、そちらで行きたいですね!」木嶋は、はるかに答え、
コンビニ近くの市営地下鉄の入口の階段を、はるかが、先に下りて行く。
木嶋も、はるかを見失わないように、急いでいた。
「カッ、カッ、カッ」靴の音。
改札前に着いた…はるかは、
「ここから、横浜まで…200円か?」運賃表を見上げていた。
少し遅れて、木嶋が、はるかの元に着いた。
「木嶋さん、横浜まで、200円ですよ!」はるかが、木嶋に伝えた。
木嶋は、
「OKです。」
財布を取り出し、1000円札を、はるかに預けた。
はるかは、木嶋からのお金を、切符の自動券売機に入れた。
2枚のボタンを押し、切符を取り出し、お釣りを券売機から受けとった。
お釣りと切符を木嶋に手渡した。
木嶋は、
「お釣りは、はるかさんに差し上げます。」はるかに伝えた。
はるかは、
「いいのですか?」木嶋に問いかけ、
木嶋は、
「いいよ。」と…はるかに答えた。
はるかは、お釣りをコートの中に入れた。
階段を一段ずつ下がり、ホームに下りた木嶋と、はるかは、電車が来るのを待っていた。
《パーン》乾いた…クラクションの音が聞こえている。
《プシュー》ドアが開いた。
市営地下鉄でも、関内駅で降りる人は少ない。
木嶋と、はるかは、市営地下鉄に乗った。
横浜駅まで、およそ…5分ぐらいである。
《ドアが閉まります。》と、
ホームのアナウンスが、【こだま】する。
《ピンポン》と、音を立て閉まった。
《ブーン》と、電気の流れる音。
少しずつ加速をしていく。
《ガタン、ゴトン》車輪の摩擦で、レールが削れる音が聞こえている。
木嶋は、空いている座席を見渡し座った。
はるかも、木嶋の右隣りに座ったのだ。
そっと…木嶋の右手が、はるかの左手を掴む。
はるかも、木嶋の右手を握った。
コーヒーショップ『S』から、市営地下鉄の乗り場まで、歩いていたので、手の体温が、寒さで冷たくなっていた。
はるかの左手を握ったのは、初めてデートした時…以来だった。
今は、友達付き合いだが、
木嶋には、
《彼女みたいに大切な人。》
「間もなく…横浜〜。横浜です。」車内アナウンスが聞こえていた。
木嶋と、はるかは、座席を立ち、
「木嶋さん、洋服などを見たいので、少し、時間を頂けますか?」はるかは、木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「はるかさんの好きにして下さい。」はるかに答えたのだ。
はるかは、
「ありがとうございます。」木嶋に声を掛け、
「後ほど、電話しますね!」
そう言葉を残し、
《ピンポン》ドアが開いたと同時に、改札口へ走って行く。
木嶋は、はるかと、一時別れ、
「どこにいようかな?時間に余裕があるので、ブラブラしようか?それとも、どこかのコーヒーショップに入ろうか?」
一人で、ブツブツと、ボヤきながら、歩いていた。