第204話
木嶋は、
「はるかさん、歩くのが早いよ!」はるかに声をかけた。
はるかは、
「あっ…早過ぎました。ゴメンなさい。」木嶋に話したのだ。
木嶋と、はるかは、京浜東北線のホームに着いた。
「木嶋さん、関内駅は、どちらの改札が、クラブ『O』に行きやすいのですか?」はるかは、木嶋に問いかけていた。
「クラブ『O』へ行くには、最後尾に乗って下さい。」木嶋が、はるかに答えたのだ。
はるかは、颯爽と、最後尾に向かって歩き出していた。
闊歩して歩く…はるかから、少し遅れて、木嶋は歩いていた。
電車が、
「パーン」と、クラクションを鳴らし、ホームに入ってきた。
京浜東北線の側面行き先表示を見ると、
【桜木町駅】止まりであった。
次が終点なので、乗降する人は、数えるぐらいしかいなかった。
関内駅は、もう一つ先の駅だ。
木嶋と、はるかは、次の電車で行くことを決めた。
「えっと…桜木町行きの次は、磯子行きか…」木嶋は呟きながら、
ホームの行き先表示を見上げていた。
「プシュー」桜木町行きのドアが閉まったのだ。
「ガタン、ゴトン」電車が動き出した。
前の電車が行ってから待つこと…3分が経過していた。
今年の冬は、寒さが厳しい。
いくら…暖かいダウンを着ていても、身体が寒く感じていた。
「パーン」再び、クラクションを鳴らしながら、電車が入ってきた。
先ほどの電車と、打って代わり、降りる人が大勢いた。
横浜駅から乗る人も、同様であった。
「プルー」発車ベルが鳴っている。
ホームのアナウンスが、
「ドアが閉まります、ご注意下さい!」注意喚起していた。
「ピンポン」ドアが閉まった。
木嶋は、空いている座席があるか、周りを見渡した。
最後尾なので、乗っている人も、前の車両から見ると、少なく感じていた。
車両の真ん中辺りに、空いている座席を見つけ、木嶋は、座ったのだ。
はるかも、木嶋の隣りに座った。
桜木町、関内…たった2つの駅だが、立つよりも、座った方が楽であった。
車内アナウンスが、
「間もなく、桜木町〜、桜木町です。」聞こえていた。
桜木町駅のホームには、大勢…乗客が待っていた。
「バレンタインデーが、経過してから日にちが浅く、土曜日で、まだ、時間が早いから、みんな…他の場所へ飲みに行くのかな?」木嶋は、反対側の窓から見つめていた。
「プシュー」ドアが開いた。
車内が、先ほどまで、静寂さから、賑やかな雰囲気に一変していた。
木嶋の乗っている車両には、若いカップルが多く乗ってきた。
隣りに座っている…はるかと、すぐに比較をしてしまう。 これは、木嶋の悪いクセなのだ。
「はるかの方が、当然いいはずだ。」
見た目、年齢差がありそうなカップルも、中には見受けられた。
実際に、若いカップルたちから見たら、
「自分たちをどのように思っているのだろうか?甚だ…疑問である。」木嶋は、そう捕らえていた。
桜木町駅を発車した。
「ガタン、ゴトン」揺られている。
「間もなく、関内〜、関内です。」車内アナウンスが聞こえていた。
木嶋は、
「はるかさん、関内ですよ!」はるかに声を掛けたのだ。
はるかは、
「は〜い。」木嶋に答えていた。
電車が、関内のホームに着いた。
「ピンポン」音を立て、ドアが開いた。
関内駅は、先頭か…最後尾に乗らないと、改札口まで遠いのだ。
木嶋は、はるかと一緒に階段を、一段ずつ降りて行く。
改札を左に出て、木嶋は、
「はるかさん、こちらです。」はるかを、エスコートした。
はるかは、
「やっぱり、関内は、私には、寂れた街にしか見えない!」木嶋に伝えたのだ。
木嶋は、
「はるかさん、そんな言い方をしたらダメだよ!関内で、働いている人もいるのだからね。」はるかを諭すように、話したのだった。