第203話
はるかは、
「木嶋さん、もう一つ…プレゼントがあります!」木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「本当に…何だろう?楽しみだね!」
ワクワクしていた…
はるかは、【HERMES】のトートバッグから、何かを取り出した。
木嶋は、
「そのトートバッグ…随分、使い込んでいるね!」はるかに話したのだ。
「木嶋さんから、私の誕生日プレゼントして頂いた物なので、大切に使っています。これは、ハワイのお土産です。」木嶋に、小さな瓶を手渡した。
木嶋は、
「マカデミアナッツだ…ありがとうございます。マカデミアナッツは、良く…地元のスーパーなどで買ってます。」はるかに伝えたのだ。
はるかは、
「良かった。喜んでくれて…ハワイで、買い物で夢中になり過ぎてしまい、木嶋さんへ、小さなお土産で申し訳ないです。」木嶋に頭を下げていた。
木嶋は、
「そんなことを、気にしていません!」はるかに話し、続けざまに…
「はるかさん、クラブ『H』のラストインは、いつになったのですか?」はるかに問いかけていた。
「クラブ『H』のラストインは、来週の水曜日です…。木嶋さん、富高さんと一緒に来て頂くことは、出来ませんか?」はるかは、木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「随分、急な話しだね!ラストインを変えることは不可能なの?」はるかに話していた。
はるかは、
「私は、4月から社会人として、会社勤務の生活が始まります。いつまでも、クラブ『H』に縛られたくありません。残り少ない…学生生活を、友達と一緒に楽しみたい。遊びたいのです。」木嶋に伝えたのだ。
木嶋は、
「残り少ない…学生生活か…自分も、経験があるから、はるかさんの気持ちは、理解が出来ます。時間は過ぎてしまいますが、リバースは利かないよ!」はるかに話したのだ。
「木嶋さんに、私の気持ちを話して良かった。一番、理解してくれている。ありがとうございます!」はるかは、木嶋に伝えた。
木嶋は、
「照れるじゃないの?」はるかに、苦笑いしていた。
はるかは、
「木嶋さん、関内に向かわなくていいのですか?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「そろそろ…ここを出て、関内に行こうかなと思っていたのですよ。」はるかに答えていた。
はるかは、
「木嶋さん、関内に行きましょう。」木嶋に声を掛け、座っていた席を立ち、階段を降りていく。
木嶋も、はるかのあとを追いかけるように、会計伝票を右手に持ち、階段を降りて行く…。
はるかは、木嶋が来るのを、店の外で待っている。
木嶋は、会計を終えて、はるかの元に小走りしていた。
はるかと木嶋が、並んで歩くのは珍しい光景であった。
木嶋が、先に歩き、はるかが、遅れて歩いて行くのが当たり前であった。
関内にある…
玲のクラブ『O』
はるかから見たら、
「木嶋さんは、誘惑に弱い。私が、一緒に行けば…誘いを断るはず…。」木嶋の心を透かしていた。
木嶋は、はるかの思いを知らずに、
「玲の誘いを受けたら、断るのも…どうなのかな?はるかの気持ちを、考えると悩ましい選択だ!」
心が、《グラグラ》
音を立てて、揺れ動いている。
「カッ、カッ、カッ」
ヒールの靴の音が地下に響く。
木嶋は、
「先に、改札を入って待っているよ。」はるかに声をかけた。
はるかは、右手を上げ、JRの運賃表を見つめ…
トートバッグの中から、財布を取り出した。
【LOUIS VUITTON】の財布であった。
木嶋は、はるかと付き合うようになってから、
ブランドメーカーの名前が、少しずつ…判るようになっていた。
【LOUIS VUITTON】か…!
木嶋は、
「財布を購入したことがあったかな?」思案していた。
はるかの誕生日やホワイトデーの贈り物で、
【LOUIS VUITTON】、【HERMES】は贈った記憶がある。
トートバッグとポーチぐらいしか思いつかない。
はるかが、改札の中にいた木嶋の元に来た。
「木嶋さん、行きましょう。」木嶋に声をかけ、
京浜東北線のホームに向かったのだった。