第195話
木嶋は、
「あっ…いけない。大森さんとの相談に乗っていて、玲さんにメールをするのを忘れていた。」
仕事が始まる直前に気が付くも、
「まっいいか…!また、あとで、玲にメールすればいいか!」そう思うのであった。
木嶋も、毎日のように、奇妙な4角関係のことを、頭の中で考えていた。
「いつまで続く…」
〜♪振り返るといつも君が笑ってくれた 風のようにもっと…♪〜
ふと映画のように、最初き巻き戻してみたい。
仕事が終わりのチャイムが、
「キーン、コーン、カーン、コーン」鳴っていた。
現場に飾ってある掛け時計で、時間を確認した。夕方5時になっている。
「今日も、残業だ…。」自問自答を繰り返していた。
携帯を、小物入れから取り出し、受信メールボックスから玲のアドレスを呼び出した。
「玲さん、今週末は、人と会う予定があるため、店に行くのは、難しいです。月末でいいのであれば、行かせて頂きます!」木嶋は、メールの入力をして、玲のアドレスへ送信した。
あとは、玲からの回答待ちであった。
残業を終えて、再び、携帯を取り出した。
木嶋は、仕事をしている間は、携帯を小物入れに入れている。
仕事柄、携帯を持ちながらの仕事でない。
着信に気がつくのは、休憩時間の時なのだ。
携帯の側面が、光っている。
どうやら、電話の着信らしい。
木嶋は、携帯を持ちながら、ロッカールームに向かった。
着替えが終わり、会社の送迎バスに乗った。
「玲さん、先ほどは電話をありがとうございます。後ほど、連絡をします!」玲にメールをしたのだ。
バスが会社から出て、最寄り駅に向かって行く。
片道10分ぐらいの距離を毎日、走行している。
1990年代の木嶋は、仕事が終わってから良く走るのが日課になっていた。
それは、一時期、会社の名物になっていた。
《何事も、継続することは大切なこと》である。
【途中で投げ出すことも、誰にでも出来る。】
その一瞬に、輝き続けていれるのだろうか?
一流選手でも、全盛期はある。
それは、年齢と共に、下降線を描いている。
木嶋も、陸上選手で大会に出場していて、ベストタイムを出したことはあった。
21世紀になって、周りの環境が変わり、仕事が終わってから走るタイミングを逃してしまった。
それ以来、陸上仲間と飲んだ機会は、はるかと出会った日が最後になっていた。
『郷田さんたちは、元気にしているのかな?』いつも心で思っていた。
送迎バスが、会社の最寄り駅に着いた。
木嶋は、携帯をリュックから取り出し、玲の携帯番号を確認してから発信した。
「プルッ、プルー、プルー」呼び出していた。
なかなか…電話に出ないので、木嶋も、少しイラ着いていた。
何度も呼び出しても、電話に出てくる気配がない。
冷静に考えてみた。
「そうか…玲さん、車を運転中だから電話に出れない!」そう考え、続けて、
「こちらからの着信履歴が残っている。車から降りた時に、電話が掛かってくるかな?」木嶋の答えが出たのだ。
最寄り駅から通勤で使っている相鉄線に乗った。
その時、携帯が、
「プルッ、プルー、プルー」と鳴っていた。
「誰かな…」と携帯の画面を覗くと、玲からであった。
木嶋は、電話に出た。
「もしもし、木嶋ですが…?」
「玲です。先ほどは、車を運転していて、電話に出られなかったんだ。ゴメンね!」玲が、木嶋に答えていた。
木嶋は、
「そんな予感がしていましたよ。」苦笑いを浮かべて、玲に話したのであった。
玲は、クラブ『O』には、車で通勤している。もちろん、飲酒運転などするはずもない。
飲酒運転をすれば、警察に捕まってしまうのだ。
木嶋は、
「玲さん、メールで書いたように、今週末よりも、月末がいいのですが…」玲に伝えたのだ。
玲は、
「店に入らなくてもいいので、今週末に取りに来て欲しいな!チョコレートは、日にちがそんなに持たないので…」木嶋に話していた。
木嶋は、
「分かりました。時間は、後ほど決めて連絡をします。」玲に伝えて、電話を切ったのだった。