第183話
木嶋は、携帯を取り出し、
「誰だろう?」画面を覗いた。
大森さんからであった。
「もしもし、木嶋さん、大森ですけど…」
「珍しいことがあるね。電話をしてくるなんて…何か…あったの?」電話に出た木嶋は、半分、疑問心を抱きながら、大森さんに問いかけていた。
大森さんは、
「いや〜!木嶋さんを、冷やかさないといけないと思ってね!電話をしたのですよ!」木嶋に話していた。
木嶋は、
「随分、見下してくれるじゃないの?」大森さんに伝えた。
大森さんは、
「木嶋さん、今日?どこかに出かけていました?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「出かけていたよ!何で…?そんなことを聞くの?」大森さんに答えていた。
「昼近くに、国道1号線を通ったときに、木嶋さんの車が、東神奈川の『Denny's』に止まっていたのでね!チョット…気になって電話したのです!」大森さんは、木嶋に話していた。
「良くナンバーを覚えていたね!それも、昼近くに『Denny's』を通るなんて…偶然じゃないの?」木嶋は、感心した様子で大森さんに伝えた。
「仲間と、釣りに出かけていて、たまたま…その時間に、東神奈川を通り過ぎたのです。木嶋さん、彼女がいるって…話していたことがありましたよね?僕と違って…真面目な人だから…彼女に騙されているんじゃないかと心配をしているのですよ!」大森さんは、木嶋に話したのだ。
「彼女はいるよ。騙されているなんて…失礼極まりないよ。自分が、その人を好きになったのだからいいでしょう!それに、大森さんの彼女も、少し前まで、夜の仕事をしていた人ではないですか?」木嶋は、大森さんの質問に反論したのだ。
木嶋と大森さんは、同年代で、お互い、話しがしやすく、昼休みも一緒に過ごしている。
大森さんが、途中入社なので、会社に同期がいない。
それを、木嶋が、理解をしていた。
機会があれば、小室さんや溝越さんたちと、大森さんを、飲み会のたびに誘っているのだ。
大森さんも、飲むことが好きで、誘われることは嬉しいのだ…。
木嶋は、誘えば確実に、出席してくれるから、信頼を於いている。
また、大森さんは、小室さん、富高さんと釣りの話しで盛り上がる。
釣りと言っても、多種多彩で、
『キャスティング』もあれば、『磯釣り』、『川釣り』などがある。
小室さんと富高さんは、
『川釣り』が主である。
大森さんは、
『キャスティング』である。
木嶋が、人目をおくのは、釣りの知識が豊富なことである。
両親の田舎で、極まれに釣りをやるが、《のんびり》気長に…釣り糸を垂らしながら、釣れるのを待つのが苦手なのだ。
木嶋も、一人で
「ボー…としたいときはある。」
時間を有効活用するには、もっと…他の方法を見つけようと考え始めていた。
大森さんは、
「今度、魚を釣ったら、会社に持ってきますよ!」木嶋や溝越さん、小室さんにそう話していた。
「待てど…暮らせど…【クール宅急便】で、魚は、一度も届かない!いつになれば届くのだろう?」不安になっていた。
木嶋は、大森さんを責めたい気持ちもあるが、追い込むことは、本人に《プレッシャー》と言うストレスになってしまうと思っていたのだ!
「大森さん、彼女と出かけて、何かもらったの?」木嶋は、大森さんに聞いていた!
「彼女とは、出かけていないよ。バレンタインデーなんて、形式張るのも、堅苦しいからね!しなくてもいいよ!と伝えたよ…!」木嶋に答えたのだ。
木嶋は、
「淋しいね。考え方は、十人十色だし、色んな人がいるからいいんじゃないの?」大森さんに話した。
大森さんは、
「木嶋さんなら理解をしてくれると思っていたよ。」木嶋に伝えたのだ。
木嶋は、
「また、大森さん、小室さんを誘って、飲みに行こうよ!」誘っていた。
大森さんは、
「うん。いいよ!これから予定を確認して、明日の月曜日に答えますよ!」木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「よろしくね!」大森さんに伝え、電話を切ったのだ。
【自分も、スケジュールを確認しよう!】
木嶋は、リュックから黄色い手帳を取り出したのだった!