第18話
木嶋と富高さんを乗せた電車が横浜駅に着いた。
「プシュッ」エアーの止まる音が聞こえた。
ドアが
「プシュー」と音を立て開く。
木嶋と富高さんは、階段を降り、相鉄線の地下改札口を出た。
横浜駅構内を真っ直ぐ歩いて行く。
歩き始めて5分ぐらいしてから東横線のキップ売り場に着いたのだ。
富高さんは、
「木嶋君、いくらなのかな?」木嶋に、白楽駅までの金額を聞いた。
木嶋は、運賃表を見た。
「白楽駅までは、120円だよ。」富高さんに、料金を教えた。
木嶋も、財布からお金を取り出しキップを購入した。
木嶋と富高さんは、キップを片手に改札口を通り過ぎて行く。
ホームに上がり、渋谷方面に歩いて行く。
ホームに出た木嶋は、
「白楽駅には、一度も降りたことはないんだよね。」富高さんに伝えた。
富高さんは、
「木嶋君、白楽駅には、降りたことは、一回もないの?意外なように思えるよ。麻美さんの家から木嶋君の家の最寄り駅まで近い感じがしたよ。」木嶋に話している。
木嶋は、
「自分の最寄り駅から近いように思えるが、遠いんだよね。東神奈川駅で待ち合わせをするなら自分の通り道だから近いけどね。」富高さんに話したのだ。
富高さんは、
「木嶋君から見たら、遠回りになるんだね。」木嶋に尋ねた。
木嶋は、
「そうなるね。」富高さんに伝えたのだ。
電車が、白楽駅に近くなり始めた頃、木嶋の携帯に、
「プルッ、プルー、プルー」着信音が鳴り響く。麻美からの着信だった。
「木嶋君、今、どの辺りですか?」メールがきたのだ。
木嶋は、
「もうすぐ、白楽駅に着きますよ。改札口を出たところで待っています!」顔文字入りのメールを麻美に返信したのだ。
麻美は、
「了解しました。これからそちらに向かいます。」顔文字入りのメールを木嶋に返してきた。
木嶋は、横にいた富高さんにメールの内容を見せた。
富高さんは、
「何で来るのかな?」木嶋に尋ねた。
木嶋は、
「あっ、いけない。何で来るのか聞くのを忘れていたよ。」富高さんに、話したのだ。
富高さんは、
「木嶋君、キチンと聞かないとダメだよ。」木嶋に、軽く怒っていた。
木嶋は、
「ごめんね!」苦笑いを富高さんと一緒にするのだった。
白楽駅に着き、改札口を出た、木嶋と富高さんは、麻美が来るのを待っていた。
待つこと10分ぐらいたったのだろうか!
1台の原チャリが
「ピッピッピー」クラクションを鳴らしながら走ってきた。
「誰だろう。」木嶋と富高さんは思っていた。
原チャリが止まり、ヘルメットを取ったのは、麻美であった。
「木嶋君、富高さん、待ったかな!」麻美が、木嶋と富高さんに聞いていた。
木嶋は、
「富高さん、そんなに待ち時間はないよね。」富高さんに、尋ねた。
富高さんも、相槌を打つように
「そんなに、待っていないですよ。」麻美に照れながら話している。
麻美は、
「寒空の中で、長時間待たせていたら悪いかなと思いまして。あっ、木嶋君と富高さんに、バレンタインデーのチョコレートです。両方、同じ物ですよ。」木嶋と富高さんに、手渡したのだった。
木嶋と富高さんは、
「ありがとうございます。気をつかわせて申し訳ありません。」麻美に、お礼の言葉を同時に会釈をしたのだった。
麻美は、
「木嶋君と富高さんは、友達ですからね。これからも宜しく。私は、これから仕事なので行きますからね。」木嶋と富高さんに話して、原チャリのエンジンをかけて走り去って行ったのだ。
麻美を、見送った木嶋と富高さんは、白楽駅で、キップを買い、改札口を通り、横浜方面のホームに歩いて行ったのだ。
富高さんが、
「木嶋君、麻美さんに、何かした方がいいかな?」木嶋に、問いかけている。
木嶋は、
「来月のホワイトデーに、何か返した方がいいと思うね!」富高さんに話したのだ。
富高さんは、
「じゃあ、ホワイトデー近くに麻美さんがいるクラブ『P』に、飲みに行こうよ!」木嶋に、同意を求めた。
木嶋も、
「いいね…。行こうよ!自分もクラブ『P』に一度も行ったことがない。麻美さんに、メールでホワイトデー近くに行きますと連絡をしておきます。」富高さんに、話したのだった。
普段なら木嶋が、富高さんを飲みに誘うが、今回は、富高さんから積極的に《飲みに行こう》と話しが出たのは、意外であったのだ。
木嶋と富高さんは、東横線の横浜駅に戻ってきた。改札口を抜け、横浜駅構内を歩き、JRの改札口を入り、富高さんは、千葉の船橋方面へ、木嶋は、東京方面へと別れて、 発車ベルが、
「プルー」と鳴り響く横浜駅をあとにした。