第176話
木嶋は、時間も、夜11時を回ったので、布団の中に入り、眠りについた。
翌朝になり、布団から出るのも辛いくらいに…寒さが身に染みる。
炬燵の電気のスイッチを入れ、家の中にある掛時計を見た。
「朝の7時か…それにしても、寒いな…何度あるのかな?」
バルコニーにある…温度計を見ると、
「18℃か…寒いはずだ。」
部屋に戻り、《ストーブ》に火を点けた…。
木嶋は、部屋が暖まるまで、炬燵の中に入った。
時間が経つにつれ、部屋全体が温まり出した。
木嶋は、前日、スーパーで購入した惣菜を冷蔵庫から缶コーヒーと一緒を出したのだ。
いつもなら、母や姉が食事の支度をしてくれるが…、
この日は、前日から田舎で予定があり、父を含めて、3人で出掛けてしまい、
木嶋だけが留守番である。
普段、家族…4人で生活するスタイルに慣れてしまっているので、
一人で、【ポツン】と家にいると、時間の経過して行くスピードが、凄く長く感じるのだ。
木嶋と父、母は、毎朝、白いご飯を食べないと、パワーが出ない。
木嶋は、仕事をする前に、
《おにぎり》を食べないと、昼食まで、お腹が持たないのである。
食パンも嫌いではないが、長期の休みの時ぐらいである。
木嶋の姉は、パンが好きである。
どちらかと言うと…白いご飯が苦手で、明太子や納豆と一緒に食べるのだ。
「まだ時間に、余裕がある。テレビでも見よう!」
木嶋は、炬燵の上に置いてあった『リモコン』を右手に持ち、電源を入れた。
日曜日と言うのに…朝は、情報番組が多い。
民放各局が凌ぎを削りながら、視聴率争いをしている。
木嶋は、日本テレビの情報番組を好んで見ている。
ここ最近は、フジテレビの後塵を 拝している。
眠い目を擦り、冷蔵庫から出した、缶コーヒーのプルタブを開け、
マグカップに移し、電子レンジで温めていた。
すると、木嶋の携帯が、
「プルッ、プルー、プルー」鳴り出した。
携帯を手に取ろうとしたとき、呼び出し音が鳴り止んでしまった。
「誰かな?こんな時間に…」
木嶋が、携帯を覗くと、 《国際電話の着信であった。》
「国際電話か…はるかかな?」そう感じ取ったのだ。
ハワイとの時差は、どれくらいあるのかは、木嶋には判らない。
「日本時間を計算して、電話をして来たかも知れないな!」
木嶋は、喜びを表現したいが、
「麻美と会うから、喜びより罪悪感の方が先だな!」はるかに、申し訳ない気持ちになっていた。
「また、必要なら…はるかから電話が来るかな?」
【フー】と、ため息をつきながら、気持ちを落ち着かせていた。
〜♪胸が張り裂けそうだよ…ペースが乱されて…一秒刻みで…♪〜
今の木嶋の胸中である。
着替えを終え、車の駐車場に向かった。
家から徒歩10分ぐらいのところに、駐車場があるので、運行前点検をして、異常があれば、近くにトヨタの営業所があるので、連絡がしやすいのである。
車のキーを、スタートスイッチに差し込んだ。
エンジンが掛かり、《コラムギア》をバックに入れ、ミラーで通行人を避けながらバックして行く。
最初は、コラムギアに慣れず、ギアとワイパーを間違えてしまうことが多かった。
冬の寒さで、エンジンの回転数が低いままでは走行することは難しい。
足元が寒いので、ヒーターを入れたいが、一定の回転数に上がるまで、我慢をするしかないのだ。
エンジンの回転数が上がり始めたので、木嶋は、車を走らせた。
待ち合わせ場所は、
「Denny'sか?」
少し、自嘲気味になっている自分に気が付いていた。