第173話
木嶋が、麻美と会話を終えてから、2時間が経過していた。
すると…1通のメールが、木嶋の携帯に届いていた。
「誰だろう…?」
携帯のメール受信ボックスから、新しいメールをスクロールした。
「麻美さんからだ…。」
メールを読み始めた。
「木嶋君、先ほどは、電話を頂き、ありがとうございました。明日のことですが、東神奈川にあります…【Denny's】に午前11時に待ち合わせしませんか?麻美より」
木嶋は、
「東神奈川の【Denny's】に午前11時か…はるかは、海外でいないし、大丈夫だ。」呟きながら…
「麻美さん、了解しました。」すかさず、麻美にメールを返信したのだった。
麻美から、
「木嶋君。私の提案に賛同して頂き、ありがとうございます。明日を楽しみにしています!」木嶋にメールを返信した。
木嶋は、いつもと違う…期待感が胸の中に去来していた。
「明日は、車で、東神奈川の【Denny's】に行こう!はるかが、海外に出かけている時に、《麻美さんに会いました。》なんて話しをしたら…怒るだろうな!このことは、【シークレット】にした方がいいかな!」木嶋の胸の奥にしまうことを決意したのだ。
〜不安な夢を見ていても仕方ない〜
開き直るしかないのだ。
自宅に戻った木嶋は、
「いくら…麻美さんと親しくしていると言っても…手ぶらで行くのも悪い気がする。何か…良い策はないのだろうか?」思案をしていた。
「麻美さん=映画…それしか思い浮かばない!映画のチケットを探しに行こう!」
木嶋は、思い立ちすぐに行動に写した。
最寄り駅の自由通路を通り抜け、私鉄の近くにあるチケットショップ『W』の前で立ち止まった。
「映画のチケット…チケット…映画の単独のチケットはあるが、ワーナーマイカルのチケットは、いざ、探す時は見つからない!ないのかも知れない!」
木嶋は、探しても見つからず…少しばかり、焦りの色が見えてきた。
「チケットショップ『W』にない。
他を当たろう!」
地下街にあるチケットショップ『I』に歩みを始めた。
階段を、
「ズッ、ズッ、ズッ」と一段ずつ降りていく。
エスカレーターが設置されていないので、不便さを感じながらも、これが日常だと思うのだ。
階段を降りた右手には、ファーストフード『M』があった。
《以前は、この店は混んでいたのに、空いているな!以前と比べたら、人通りが少ないかな?》
客観的な見方をすれば、そうなるのであった。
木嶋の友人に、小湊さんがいるのだ。
小湊さんとは、夜間高校の同級生、三石さんの紹介であった。
一年に一回、東京競馬場に行くのが日課になっていた。
木嶋も、それが楽しみでもある。
Gパンのポケットから携帯を取り出し、久しぶりに、小湊さんに電話をかけた。
「プルー、プルー、プルー」呼び出している。
小湊さんが電話に出た。
「もしもし、小湊ですが…。」
「小湊さん、久しぶり。チョット…教えてほしいことがあるんだ!」木嶋は、小湊さんに問いかけたのだ。
「何でしょう?自分で判ることは…答えますけど…」小湊さんは、木嶋に聞いたのだ。
木嶋は、
「以前…ファーストフード『M』で働いていたよね?」小湊さんに話したのだ。
「働いていましたが…それが…何か…?」小湊さんは、木嶋に答えたのだ。
「今、ファーストフード『M』の横を通ったのですが…夕方だと言うのに、店内がガラガラ空いていたよ!」木嶋は、小湊さんに感じたことを伝えていた。
小湊さんは、
「そうでしょうね。自分も、最近、ファーストフード『M』の横を通りましたが、そう感じていましたよ。売れていない可能性がありますね!」木嶋へ踵を返したのであった。
「木嶋さんは、今、どちらにいますか?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「今は、地下街にあるチケットショップ『I』に向かっています!」小湊さんに話したのだ。
小湊さんは、
「チケットショップ『I』ですか…?たまには、いいですね?最近、自分は、チケットショップに行っていないので、この機会に、行こうかなと、考えていますよ。」木嶋に、そう答えていたのだった。