第167話
トンネルを出たとき、
「ピローン、ピローン、ピローン」再び、はるかの着信音が鳴り響く。
「チョット、木嶋さん、電話を切るなんて…酷くないですか?」はるかが、木嶋に強い口調で問いかけていた。
木嶋は、
「いたずらに、電話を切ったのでは、ありません!携帯の電波が届かないエリアがあるのです!」はるかに答えていた。
はるかは、
「本当ですか?」木嶋の疑問に、聞き返そうとしたとき、携帯の電波が悪いところに差し掛かってしまった。
木嶋は、そのエリアを抜け出したとき、はるかに電話をしたのだ。
「プルッ、プルー、プルー」呼び出し音が鳴っていた。
はるかが、電話に出た。
「もしも〜し、はるかで〜す。」
「木嶋です。通話が何度も、途切れてしまい申し訳ない!今は、携帯の電波が悪いところは、通り過ぎたので安心して話しが出来ますよ!」木嶋は、はるかに話したのだ。
はるかは、
「今どき、そんなエリアがあるなんて信じられな〜い!」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「どんなに、携帯電話が進歩しても、電波の悪いエリアは存在するのです!《基地局を、たくさん林立すればいいか?》と言うとそう簡単なことではないからね!」はるかに答えたのだ。
はるかは、
「へぇ〜、そうなんですか?いっぱい建てれば、解決するのに…そう思いませんか?」少し不安な言葉を口にしていた。
木嶋は、
「たくさんアンテナを建てれば、解決するかも知れない!あとは、各携帯事業者が考えればいいと思います。今、我々(われわれ)には、どうすることも出来ない問題ですよ!」はるかに伝えたのだ。
「分かりました。話しは、変わりますが、木嶋さん、今、どの辺りですか?」はるかが、木嶋に問いかけている。
「今は…乗り換え駅の近くですね!おおよそ、20分ぐらいではないですか?」木嶋は、はるかに話したのだ。
「まだ、それくらい掛かるのですか?」
「おおよそですから、早く着くとは思います。」木嶋も、逸る気持ちを抑えながら、はるかに伝えていた。
人は、好きな人がいることで、内面を磨くことが出来るのだ。
木嶋は、はるかと出会ってから、少しぐらいは積極的になったのだろうか?
自分では、分からないことが多い。
「木嶋君が、はるかさんの掌で、踊らされているような気がしてならない!早く、別れた方がいいよ!」麻美は、いつも辛辣な言葉を、木嶋に浴びていた。
木嶋が、気がついているが、別れるつもりは、今のところはない。
今の自分に、何が必要なのだろう?
「はるかが、側にいるだけで、満足。」そう思うしかないのであった。
だだ、自己満足している。
はるかより、富士松さんを好きになるかも知れない。
もっと…素敵な人が現れる可能性を求めるのも悪くない。
現在進行形より、進歩しないと意味がない。
未来を、夢を見るのは、誰でもある。
はるかは、
「木嶋さん、横浜に着いたら電話下さい。」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「了解しました。横浜に着いたら連絡します。待っていて下さい!」はるかに話し、電話を切ったのだ。
電話を切ってから、木嶋は、これからのことを、考えると胸が締め付けられそうである。
「どちらにしても、白黒をつけないと…あとは、タイミングを見計らって…はるかに、気持ちを伝えないと…!」木嶋は、いつにしようか?頭の中で、張り巡らせていた。
「そうだ。はるかが、クラブ『H』を辞める時にしよう!」
木嶋の一代決心をしたのであった。
この決心が、はるかに伝わるか?どうかは、全ては、はるかが、タイニングポイントを握っているのであった。