第163話
木嶋の乗った電車が、東京都と神奈川県の鉄橋を、
「ガタン、ゴトン」渡っていた。
もうすぐ最寄り駅に着くのだ。
電車が、ホームに着いた。
「プシュー」ドアが開いた。
階段を、
「ズッ、ズッ、ズッ」と上って行く。
「やっと…戻って来れたかな!」
「ホッ…」と…一息ついたのだ。
木嶋は、携帯の着信履歴から、はるかに電話したのだ。
「プルッ、プルー、プルー」呼び出している。
「もしも〜し、はるかですが…」はるかが、電話に出た。
「木嶋です。お久しぶりです。何度か…電話を戴いたのに、出れなくて申し訳ないです。」木嶋は、はるかに謝罪した。
はるかは、
「本当ですよ…何度、電話を掛けたか…判らないぐらいですよ!」木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「ゴメンね!着信履歴を見て驚きました。何度も、電話をさせて…申し訳ないです。」はるかに伝えた。
はるかは、
「でも、こうして、木嶋さんが、電話を掛けてくれたことが嬉しいです!」木嶋に伝えたのだ。
「ありがとうございます。そう言って戴けると、自分も嬉しいです。明日になれば会えますよ!どれくらい、時間の融通が利きますか?あとは、はるかさん次第ですよ!」木嶋は、はるかに尋ねたのだ。
「そうですね!私も、木嶋さんといる時が、一番、充実しているので、なるべく、多く時間を作りたいと考えています!一緒にいると…心が休まります!」はるかが、木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「ありがとうございます!」はるかに答えたのだ。
「木嶋さん、明日なのですが…この間、待ち合わせ時間を決めましたが、もう少し…早く、横浜に来ることは出来ませんか?」はるかは、木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「もう少し、早くに、横浜にですか?先日、はるかさんに報告したと思いますが…これが、精一杯ですよ。自分が、早くいけるように、努力はしますが、現実的に、無理かも知れないですよ!」はるかに答えたのだ!
はるかは、
「え〜、何とかすることは、出来ないのですか?有休みを取得することは、不可能ですか?」木嶋に尋ねた。
「何とかしてくれと…言われても…会社のルールが決まっている以上、今日の明日では…有休申請するのは難しい状況です。ご理解戴きたい!」木嶋は、はるかに伝えたのだ。
はるかは、
「判りました!明日を楽しみにしていますね!」木嶋に話し、電話を切ったのだ!
木嶋は、改札口を通り、家のある方向に歩いて行く。
「さすがに…仕事を、サボる訳にも行かない!」
《悩めるハムレット》の心境である。
【トンチで解いてみよう。】
木嶋は、家の近くの公園のベンチに座り、リュックを置き、目を閉じて、答えを探し求めていた!
答えが、なかなか見つからずにいたのだ!
木嶋は、ふと、考えたのだ!
「午後、半日有休と言う選択肢もあるが、いきなり、溝越さんに話しても、OKサインは出ないはず。明日、会社で、話してみよう!ダメなら仕方ない!OKなら、はるかに連絡を入れよう!」
木嶋は、
【トンチ】が導き出した答えに、開き直ったのだ!
駅から家に帰るまでの距離が、いつもより、長く感じていた。
木嶋は、
「気のせいかな?家に帰るのに、普段、歩くより長く感じる!」
いつもなら、駅から家まで歩くのに、10分ぐらいなのに、それ以上…時間が掛かっている。
「どこかで、休みを取らないといけないな?」
ボヤきながらも、ボクシングジムを左手に見ながら、ようやく、家に帰宅したのであった!