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第161話

「プシュー」ドアが閉まり、

「ガタン、ゴトン」と東海道線が動き出した。

「ピローン、ピローン、ピローン」

聞き慣れた着信音が鳴っていた。

はからずも、木嶋の予感が的中したのだ。

「どうしようかな?一度は、気がつかない《フリ》をしよう!」

鳴り続けている着信音を【スルー】した。

何秒ぐらい鳴っていたのであろうか?

木嶋は、着信履歴を確認した。

「50秒も、鳴っていたのか?はるかも、我慢強いな!」はるかの意外な一面を覗いた。

「はるかのことだから、もう一度、かけてくるはず…」そう思っていても不思議ではない。

木嶋が、若い頃は、携帯電話が普及していないため、《テレフォンカード》を、『コンビニ』や『公衆電話の自動販売機』などから購入、仲間にかけていた。

何回、公衆電話から、コールしたのだろう。

1990年代、木嶋に、会社の中に好きな人がいたと言っても過言かごんではない。

片思いで終わった恋が数多くある。

会社の都合で、工場集約になり、今の現場にいるのである。

小室さん、溝越さん、三谷さんなどは、木嶋が、会社に入社してからの付き合いである。

ふと、振り返ると、木嶋に、結婚する【チャンス】が無かった訳ではない。

会社の若手社員たちと一緒に、外部の人たちとの交流会があり、そこで、岩崎さんと言う女性に、一目惚れしたのである。

岩崎さんとは、交流会が終わった、その日にデートをしたのだ。

木嶋は、その時、恋愛経験が少なく、どうやって立ち回れば良いのか、判らずにいた。

岩崎さんとは、一度だけ三谷さん、後山さんと一緒に、東京、新宿でカラオケをしたのだ。

岩崎さんは、友人と一緒にいたのだ。

その後、結婚してしまい、木嶋の淡い恋が、終止符ピリオドを打ったのだ。

時が経ち、木嶋の自宅に、電話が鳴った。

当時は、ナンバーディスプレイなどなく、電話に出るしかないのである。

「もしもし…木嶋ですが…?」

「私、岩崎です!木嶋さん、お元気ですか?」

木嶋も、思い出したのだ。

「岩崎さん、お久しぶりです!随分、懐かしいですね!電話で、話しをするのは、何年振りかな?」岩崎さんに問いかけていた!

ふと…気がつくと、電車の中で、うたた寝をしていたみたいである。

「何だ…夢か…岩崎さん、元気なのかな?」木嶋が夢の中で、岩崎さんのことが出てくるのは、それだけ思いがあったのだ。

それを、叶えられる日は、いつ来るのだろうか?

「それにしても、今、どこかな?」

車内の窓から見えるのは、見慣れぬ景色けしきである。

車内アナウンスが、

「間もなく、終点、東京〜、東京です。お忘れ物が無いようにお願いします。終点、東京には、9番線に到着です!」

木嶋は、

「終点の東京か…また、やっちゃったかな!やっぱり…身体が、相当そうとう疲れているんだな?」ボヤくしかないのだ。

Gパンのポケットから、携帯を取り出した。

着信履歴を見ると、はるかからの着信が、7回あったのだ!

浅い眠りなら、気がつき、最寄り駅で降りている。

大体だいたいは、寝ていても、陸橋を越えれば、判るはずである!

深い眠りをしていたから、気がつかなかったのだ。

東京駅の東海道線のホームは、全部で、2面ある。

「そう言えば、アナウンスは、9番線って…言っていた!一回、ホームに降りて、時刻表を確認しよう!」

東京駅に到着。

「終点、東京〜、東京です。降車が終了しましたら、一旦、ドアを閉め、車内清掃を実施します。」ホームのアナウンスが伝えていた。

木嶋は、ホームに降り、時刻表を見上げた。

「この時間だと…7.8番線から出るのか?」呟きながら、階段を降りて行く。

コンコースには、色んな東京土産とうきょうみやげ、カフェコーナー、お弁当を売っていた。

日本一、乗降客が多いターミナル駅である。

勿論もちろん、コンコースの広さは、他の駅とは、比較対象ひかくたいしょうにならない。

7.8番線のホームに上るエスカレーターに乗った。

平日の夜9時を過ぎたと言うのに、丸の内のオフィス街から帰宅するサラリーマン、OLであふれ返っていた。

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