第160話
木嶋は、閃いたのだ。
「迷いはあるが、麻美さんに相談してみよう!」
Gパンのポケットから、携帯を取り出し、
受信メールボックスから麻美のメールアドレスを読み出した!
木嶋は、
「麻美さん、お久しぶりです。はるかさん、明後日から卒業旅行で、海外に出掛けるのですが、何かした方がいいのでしょうか?」麻美に、問いかけのメールを出したのだ。
携帯を再び、Gパンのポケットから取り出した。
木嶋も、直ぐに返事が返って来ると思わなかった。
「プルッ、プルー、プルー」
気がつくと携帯のバイブレーターが振動していたと同時に、メールを受信していた。。
「誰かな?」
ふと、画面を覗くと、麻美からのメールであった。
「木嶋君、連絡ありがとうございます。はるかさんに、何かしようとしていますが、する必要性がないと思います!すればするほど、はるかさん自身に利用されてしまうので、止めた方が良いのではないでしょうか?これは、木嶋君に対して注意喚起しています!」木嶋に警告していたのだ!
木嶋は、麻美からのメールの内容を読みながら、思案していた。
「本当なら、そこまですることないのは、事実だな!」
「麻美さんに、どうやって返信しようか?」
少しばかり、考えあぐねていた。
「麻美さんには、何もしないと結論を出した方がいいかな!」木嶋は、麻美の意見を尊重して、メールを返信したのであった。
麻美から、メールが再び、返ってきた。
「木嶋君、私の意見を聞いて頂き、ありがとうございます。」笑顔の顔文字入りであった。
木嶋は、
「麻美は、はるかに、かなりの拒絶反応を示しているだ。それは、月日が経つに連れ、段々と増幅されて行くように、これからも、はるかと麻美が交わる可能性は、皆無かな!」
木嶋は、心の中では、和解をするのが、一番良いと思っていた。
年齢が、一つ違えば、考え方も変わってしまう。
自分の考えを、主張すればするほど、
「押し付け」に思われていまう。
「押し付けと思われないようにするには、どうすればいいのだろう?」
木嶋は、《ジレンマ》に陥っていく。
車内アナウンスが、
「横浜、横浜〜。」とアナウンスされている。
「もう…横浜か?新聞を読んでいるときは、電車が遅く感じるが、思案しながらメールをしていると、時間が経つのは早いな!」木嶋は、ボヤきながら横浜駅のホームに降り立った。
改札口を出て、木嶋は、一旦、立ち止まった。
左腕にしている腕時計を見た。
「もう、こんな時間なのか?」
時刻は、午後8時15分を過ぎていた。
「どこかの店に、立ち寄ろうか」と思いながらも、止めた足を、再び歩き出したのであった。
JR横浜駅の改札を通り、東海道線のホームの階段を、一段ずつ、
「ズッ、ズッ、ズッ」と上がって行く!
電車が、
「パーン」と、危険防止のクラクションを鳴らしながら、ホームに着いた。
ホームのアナウンスが、
「横浜、横浜です。」と言いながら、
「プルー」発車ベルが鳴っていた。
木嶋は、東海道線に乗り、横浜駅をあとにして、家路に急ぐのには理由があった。
横浜駅を出れば、はるかから電話が来ても、戻らずに済むのである。
祈るような思いで、電車に乗って座席に座ったのだ。