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第157話

木嶋は、どんなに仕事が忙しくても、はるかと一緒にいることが《幸せ》だと信じて疑わなかった。

はるかのハワイ卒業旅行へ出かける週になった。

「溝越さんに、今週、木曜日。残業が出来ないことを伝えないといけないな!」木嶋は、昼休み休憩所で、スポニチを読んでいる溝越さんに、

「溝越さん、今、話す時間ありますか?」声をかけたのだ。

「木嶋、どうしたんだ?」溝越さんは、木嶋に問いかけていた。

木嶋は、

「今週、木曜日。予定があって…残業が出来ないのですがいいですか?」溝越さんに話したのだ。

溝越さんは、

「予定があるなら、仕方ない。木曜日、夕方5時まで頑張ってくれればいいよ!」木嶋に、頷きながら答えていた。

木嶋は、

「ありがとうございます。」溝越さんに、お礼を述べて、その場を離れて行った。

木嶋は、嬉しくて、直ぐに、

「今週、木曜日。仕事は、早く終わるので、待ち合わせ時間と場所を決めて下さい。」はるかにメールをしたのだ。

「キーン、コーン、カーン、コーン」昼休み終了のチャイムが鳴り響く。

木嶋は、機嫌がいいと、仕事に、『リズム』が良くなる。

時には、声を出さずに、口ずさみながら、歌を歌っている。

〜Mr.boy.忘れかけてた…Mr.boy.探してごらん…知らず…知らずに…はぐれたのさ…何故か…鮮やかな迷路の中を〜

この曲は、20世紀に解散をしてしまったが、

木嶋が、夜間高校に通っていた時に、シングルCDやアルバムを購入していたグループの歌である。

一時期いちじき、木嶋も、を作って、作品展に応募したこともある。

入賞出来ない自分に、才能がないのを自覚していた。

詩を書くには、たくさんの【エネルギー、感性と恋愛経験が豊富】でないと書くことが出来ない。

それだけ、プロの人たちは《凄いな》と思うであった。

木嶋自身、夜間高校出身である。

《昼間…働き、夜…学ぶ》

若い時は、誘惑ゆうわくまどわされやすい。

会社で、夕方5時に仕事を終え、夜間高校までの道程みちのりを歩いていく。

高校の正門せいもん前の誘惑に、

【立ち止まるか…止まらないか…】

『勝つか、負けるか』

二者選択にしゃせんたくである。

それが人生の分岐点ぶんきてんつながって行く。

夜間高校しか出来ない経験もある。

《老若男女》(ろうにゃくだんじょ)

色んな人の人生談を聞く《チャンス》に恵まれた。

木嶋の会社にも、夜間高校出身の先輩もいるので、気持ちの面でも楽になれるのだ。

同じ高校出身の田元さんも、木嶋と同じ会社に勤務しているのだ。

田元さんとは、携帯電話が主流になる前は、近況報告は、一年に一回、年賀状のやり取りしかしてなかった。

会社に入るキッカケは、

《何かあったら電話して…》軽いノリ感覚であった。

実際、木嶋の自宅に、電話がきた時は驚いたのだ。

木嶋も、何度かあるが、田元さんも、若い時は、会社を辞めようと何回かあったのも事実である。

夜間高校を卒業した時は、バブルの絶頂期ぜっちょうきだった。

今よりは、いい会社に勤務したいと思ったが、条件が合わないと言った方が正解である。

その選択は、木嶋にとって、明確な答えが見つからないでいた。

仕事が終わりのチャイムが、

「キーン、コーン、カーン、コーン」鳴ったのだ。

木嶋は、携帯を覗いた。

メールの着信を知らせるサインがあった。

「はるかからかな?」おそおそる受信メールボックスを見た。

はるかからのメールに木嶋は、笑顔になっていた。

携帯の十字じゅうじボタンで操作しながら、はるかのメールにシフトした。

「木嶋さん、木曜日に時間を作って戴き、ありがとうございます。待ち合わせ場所は、いつものカフェレストランでいいですか?返事を下さい。」

木嶋は、思案していた。

「新しい場所を見つけるには、時間がかかる。現状維持がいいかな?」

悩みながらも、結論を出さなければならない不安がぎるのだ。

木嶋は、メールを送ろうとしたが、残業開始のチャイムが、

「キーン、コーン、カーン、コーン」鳴ってしまったのだ。

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