第153話
木嶋は、はるかと横浜駅で別れたあと、
「麻美さんの店からの帰り道。あんなことを言ってしまったが、良かったのだろうか?」一人で思いに更けていた。
ふと、気がつくと、自分が降りる駅に近づいていた。
「自分の片腕になる人は、富士松さんがベストなはず…今、全く話しが出来ない現状を考えると、はるかを選ぶのが最善なのかも知れない!」心の奥で叫びが聞こえていた。
最寄り駅に着き、改札口を出て、家まで歩いて行く。
一通のメールが受信していた。
「誰だろう!」
期待と不安が交錯しながら、メールの受信ボックスから呼び込んだ。
メールの送り主は、麻美であった。
「木嶋君、今日は、ありがとうございました。いつも、はるかさんと仲良くて羨ましいです。あまりのめり込まないようにしないとね。また、来て下さい。らんさんも、よろしくね!」木嶋に、笑顔の顔文字入りでのメールであった。
木嶋は、
「麻美さん、今日は、はるかさんや富高さんに気を遣わせて申し訳ないです!」直ぐに、メールを返信したのだ。
家に帰り、寝床についた時間は、午前1時近くであった。
翌朝、目が覚めた木嶋は、携帯を覗いた。
「メールの着信がある!」
「誰かな?」
はるかからであった。
「木嶋さん、昨日は、ありがとうございました。麻美さんからのサプライズには、驚きました。またの機会に、一緒に行きたいです。映画に関しては、日にちを調べてから、連絡します。」
木嶋は、はるかが、麻美からのサプライズに、嬉しそうな表現で良かったと胸を撫で下ろしていた。
家にある掛時計の時刻を見た。
午前11時であった。
「もう、こんな時間か…?」
「これからどうしようかな!たまには、本屋でも行こうかな?」
身支度を整え、家から最寄り駅の近くにある、『Y』に入っていく。
はるかが行く…ハワイの情報雑誌をパラパラとめくった。
《ハワイは、芸能人が、年末年始たくさん行くところ》と、《免税店が多く、少し前までは、ジャイアンツのキャンプ地》の認識しかない。
【憧れのハワイ航路】と言う曲があるが、思わず納得してしまう。
そんな中で、「Y」で立ち読みしていると、
再び、
「プルッ、プルー、プルー」携帯が鳴っている。
携帯を取り出し、画面を覗くと…麻美からであった。
「もしもし、木嶋ですが…」
「麻美です。昨日は、ありがとうございました。」麻美が、木嶋にお礼を述べた。
木嶋は、
「こちらこそ。昨日、メールでも返信しましたよ。」麻美に伝えたのだ。
麻美は、
「木嶋君にメールを送って…返信メールを先ほど読みました。キチンと言葉で伝えたかったのです。」木嶋に話したのだ。
「気を遣わせて、申し訳ない。」木嶋は、電話で麻美に謝罪したのだ。
「気…なんて…遣っていないですよ。いつも、木嶋君には、お世話になっているので、私から見たら、当たり前のことをしたのです。」麻美は、木嶋に話していた。
「当たり前か…。そう言えば…富高さんは、どうしたのかな?大分飲んで、楽しんでいたからね。」木嶋は、麻美に問いかけていた。
麻美は、
「朝、5時まで飲んでいましたが、富高君は、意識は《ハッキリ》していました。」木嶋は、その言葉を聞いたことに、安堵していた。
木嶋は、
「富高さんが、楽しんでいたならOKです。朝、はるかさんからメールがきたよ。」麻美に話したのだ。
「何か…メールで書いてあったの?」麻美は、木嶋に問いかけた。
「また、連れて行って下さい…。そう書いてありました。」木嶋は、麻美に伝えたのだ。
麻美は、
「そうだね。また、機会があれば…いつでも…はるかさんに、そのように伝えて下さい。」木嶋に答えたのだ。
木嶋は、
「そのように、伝えます。」麻美に話し、電話を切ったのだ。
「また、意見を聞くのを忘れてしまった。」
木嶋は、電話を切ったあとに、後悔していた。
なぜなら、木嶋自身が、《はるか》、《富士松さん》どちらかの結論が出ないので、客観的な答えを、麻美に求めたかったのだ。