第151話
富高さんは、そっと…横浜高島屋の包装紙を、丁寧に、セロハンテープを剥がして行く。
「青のハンドタオル。ありがとうございます。」はるかにお礼を述べたのだ。
はるかは、
「男性の人に贈り物をする機会があまりないので、何にしたら良いか分からず、ハンドタオルにしました。」富高さんに伝えたのだ。
「自分も、ハンドタオルが欲しかったんだ!」はるかに話したのだ。
麻美は、
「はるかさん、青のハンドタオルとは奇遇ですね!」はるかに尋ねたのだ。
はるかは、
「麻美さん、何色の手編みのマフラーを差し上げたのですか?」麻美に聞いたのだ。
麻美は、
「はるかさんと同じ青色です。」
「2人が、同じ色なんて…初めてですね!」はるかは、麻美に話し、
「ハハハ」と笑っていた。
らんは、
「木嶋君、どうしたの?はるかさんが、隣りにいるのに…浮かない顔をして…」木嶋に問いかけたいた。
木嶋は、
「そうかな?浮かない顔をしているなんて…思っていないよ!」らんに伝えたのだ。
木嶋の左横にいる、はるかが、
「何か…後ろめいたことでもあるの?」木嶋に聞いたのだ。
木嶋は、
「何も…後ろめいたことはありません!」はるかに答えた。
富高さんは、
「木嶋君、会社に好きな人がいるみたいだよ?」はるかに話したのだ。
麻美、らん、はるかは、 「え〜。そうなの?」一様に、驚きを隠せずにいた。
麻美は、
「木嶋君、はるかさんがいるのに、どうしてなの?」木嶋に問い詰めていた。
木嶋は、
「はるかさんに、不満はないです。自分に、良くしてくれています。」麻美に答えたのだ。
はるかは、
「どうしてなの…?」木嶋を突いていた。
「好きと言うより、憧れです。麻美さんには、一度だけ、その話しをしたことがあります!」木嶋は、麻美とはるかに話したのだ。
麻美は、
「その話しを聞いたような…聞かないような…遥か彼方で、かすかに覚えています。」木嶋に答えていた。
木嶋は、
「情けないことに、その人が、自分の目の前にいるだけで、何も言えないのが現実です。」麻美に話したのだ。
「木嶋君でも、そんな人がいるんだね!」麻美と、はるかは感心をしていた。
木嶋は、話しを続け、
「自分は、女性社員との接点が普段からありません。どうしていいか…判らなくなります。麻美さんに、相談する機会が多いのは、仕方ないと思うよ。」木嶋は、麻美に話したのだ。
麻美は、
「木嶋君には、はるかさんが、【最大の理解者】ではないの?」木嶋に尋ねたのだ。
「はるかさんに、相談すると怒られそうで話せないんだ。」木嶋は、麻美とはるかに伝えた。
はるかは、
「私は、木嶋さんの【理解者】だと思っていますから話しを持ち掛けて下さいよ!」木嶋に答えたのだ。
木嶋は、
「ありがとうございます。今は、その人のことを考えるよりも、はるかさんと、一緒にいる時間を作りたい。」心の中の思いを、はるかに伝えたのだ。
木嶋の右横にいた、らんは、
「木嶋さんと、はるかさんが上手く行くように、らんが応援するよ!」木嶋とはるかに話したのだ。
富高さんも、
「自分も、微力ながら応援するよ。」木嶋に伝えたのだ。
木嶋は、
「陰ながら、みなさんが応援して戴けると言うなら、はるかと一緒に頑張ります。」らんと、富高さんに答えたのだ。
はるかの手元に、飲み物がないことに気がついた。
木嶋は、麻美に、
《シグナル》を出したのだ。
「はるかさん、飲み物は、何がいいかな?」麻美が、はるかに聞いていた。
はるかは、テーブルの目の前にあった烏龍茶を取り、
「烏龍茶でいいです。」麻美に伝えた。
麻美は、空いていたグラスに氷を入れ、烏龍茶を注ぎ、はるかに手渡した。
はるかは、
「ありがとうございます。」麻美にお礼を述べたのだ。
木嶋の小皿にあったバースデーケーキを取り、烏龍茶を飲みながら食べていた。
「おいしい。」はるかの顔に笑顔が覗いた。
はるかは、木嶋の左腕にしていた腕時計で時間を確認していた。
「私は、そろそろ、こちらを出ないといけないので…木嶋さんたちは、どうしますか?」はるかは、木嶋と富高さんに問いかけていた。
富高さんは、
「自分は、もう少し居ようと考えているよ。木嶋君は…」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「終電も無くなくなりそうなので、はるかさんと一緒に帰ろうかと…。」富高さんに答えたのだ。
麻美は、
「木嶋君と、はるかさんは、一緒に帰りながらこれからのことを考えた方がいいね!」木嶋と、はるかに提案していた。
木嶋は、
「そうします。」麻美に答えたのだった。