第147話
木嶋が、はるかにメールを送信してから30分が経過していた。
メールの着信音が鳴らず、不安な気持ちになっていた。
「やっぱり…ダメなのか?」精神的に、不安定になり始めていた。
らんは、
「木嶋さん、彼女から連絡ないの?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「今のところ、返信メールや着信がありません!」らんに答えていた。
富高さんは、
「はるかさんが来れば、木嶋君の表情が緩むからね。」木嶋に伝えたのだ。
麻美は、
「はるかさん、結構、警戒心が強いからね!来づらいのかも…木嶋君、私が忠告していること…全て、話していませんか?」木嶋を追及したのだ。
木嶋も、一瞬、躊躇いながらも、
「麻美さんが、自分に警告していることは、はるかさんに伝えていません。」木嶋は、軽く否定をしていた。
麻美は、
「木嶋君のことだから話しているはずだよね?」木嶋を睨みつけていた。
すると、木嶋の携帯にメールの着信音が鳴った。
「ピローン、ピローン、ピローン」電話と同じ着信音であった。
受信メールボックスから、はるかのメールを選択した。
「木嶋さん、連絡ありがとうございます。クラブ『H』は、時間がカットになるので、関内に着いたら電話します。」
木嶋は、はるかのメールの内容を読んで、笑みを浮かべたのだ。
その表情を読み取った麻美は、
「木嶋君、良かったね!」木嶋に話したのだ。
らんが、木嶋の嬉しそうな表情をしていたのを見たのだ。
「木嶋君、彼女来るんだって?」木嶋に問いかけていた。
「うん!来るようなことをメールに書いてあったが、本当に来るか?来ないか?半信半疑だよ!」木嶋は、らんに話したのだった。
らんは、
「どんな人だろう?」富高さんに尋ねていた。
富高さんは、
「はるかさん本人が来るから判るよ。」らんに話したのだ。
麻美は、男性店員さんを呼んだ。
何やら耳打ちしている。
木嶋は、
「何を耳打ちしているのだろう?」疑問に感じていた。
男性店員さんが、バースデーケーキと花束を持ってきたのだ。
麻美が、バースデーケーキに差してある蝋燭3本に火を点した。
富高さんは、
「バースデーケーキは初めてだよ。」
《フー》と息をかけて、蝋燭の火を消したのだ。
木嶋、麻美、らんの3人が、
「誕生日おめでとう。」富高さんに声をかけたのだ。
富高さんは、
「ありがとうございます。」お礼を述べていた。
らんが、
「富高さん、おめでとうございます。」花束を渡した。
富高さんは、照れくさそうに、受けとった。
「ありがとうございます。」らんにお礼を述べていた。
麻美も、
「誕生日おめでとう。」富高さんにプレゼントを手渡したのだ。
「何だろう。麻美さん、プレゼントを開けていいかな?」富高さんは、麻美に問いかけていた。
麻美は、
「開けていいよ!」富高さんに答えたのだ。
富高さんは、嬉しそうにプレゼントのラッピングを解いた。
《青の手編みのマフラー》である。
「ありがとうございます。」富高さんは、麻美にお礼を言ったのだ。
麻美は、
「手編みのマフラーなんて何年ぶりに編んだのか分からないよ。らんさんに教わりながらも、昨日、完成しました。ヘタクソで申し訳ない。」富高さんに思いを伝えたのだ。
富高さんは、
「自分の誕生日に、今まで、プレゼントを貰ったことがないから嬉しいよ。」麻美に感謝の言葉をかけたのだ。
木嶋は、
「富高さん、良かったね!」富高さんに話したのであった。
富高さんは、
「木嶋君、《サプライズ》あるのを知っていたんじゃないの?」木嶋に尋ねたのだ。
木嶋は、
「まさか…富高さんを、驚かせたいと話していたのは、麻美さんです。どんな形でするかは、知らなかったよ!」驚いた表情で、富高さんに話したのだ。
木嶋の左隣りにいた麻美が、
「その通りです。木嶋君の話していることが全てですよ。」富高さんに伝えたのだ。
富高さんは、
「本当ですか?」麻美に聞いたのだ。
「本当ですよ!」麻美が答えていた。
らんは、
「麻美さんが、プレゼントを人に渡すなんて、私は、見たことがありません。バースデーケーキは、X'mas以来ですね。富高さんは、幸せ者ですよ。」富高さんに話していたのだった。