第146話
聞き慣れた着信音であった。
「もしかして…」携帯の画面を見ると…
予感通り…はるかからであった。
木嶋が、電話に出た。
「もしもし、木嶋ですが…。」
「私、はるかです。今、麻美さんのクラブ『U』にいるのですか?」
「麻美さんのクラブ『U』にいますよ。まだ、入ったばかり…《メインイベント》までは時間が掛かりそうです。何か辛いことでもあったの?」木嶋が、はるかに話していた。
はるかは、
「今日は、淋しいのです!」木嶋に伝えたのだ。
木嶋は、
「淋しい…どうしたのですか…?」はるかに問いかけていた!
「クラブ『H』の中から電話をしているのですが、今日は、暇なんですよ!」はるかが、木嶋に答えたのだ。
「暇なんて…珍しいよね?」
「そうですね!もしかしたら、時間がカットになるかと思います。」はるかが、木嶋に伝えていた。
木嶋は、
「はるかさん、時間がカットになったら、麻美さんの店に来たらどうですか?」はるかに尋ねていた。
はるかも、
「そうですね!クラブ『H』を辞めてから、麻美さんに会っていないので、会いたいですね。」木嶋に伝えたのだ。
木嶋は、
「了解しました!判ったら電話を下さい!」はるかに話したのだ。
はるかは、
「判りました。」
木嶋との会話を終えて、電話を切ったのだ。
麻美は、
「木嶋君、今の電話の相手は、はるかさんだよね?」木嶋に聞いていた。
「何で…解ったの?」木嶋が、麻美に尋ねていた。
麻美は、
「木嶋君の表情が緩んでいたので、もしかしたらと思いました!」木嶋の心を見透かしていた。
木嶋の右隣りにいた、らんが、
「今の電話は、木嶋さんの彼女ですか?」木嶋にツッコミを入れていた。
木嶋は、すかさず…
「彼女ではないです。遊び友達です!」らんに反論していた。
「遊び友達と言うわりには、随分、長く親しげに会話していましたよ!」らんは、木嶋へ追及をしていた。
木嶋も、観念したのか…
「実は、クラブ『H』います。好きな人が…」らんに伝えたのだ。
らんは、
「やっぱり…そうなんだ。どこまで、進展しているの…」木嶋に聞いていた。
らんの右隣りにいた、富高さんは、
「進展と言うより、現状維持だと思いますよ。」らんに、木嶋に変わり、言葉を返していた。
「そうなの?」らんが、木嶋に疑問を抱いていた。
木嶋は、
「そうだね!富高さんか言われた通りです!」らんに伝えたのだ。
「好きなら、告白をすればいいじゃん!」らんは、木嶋に猛烈にプッシュした。
「本音は、告白したい。…告白したら…自分の前から消えてしまいそうで…不安なんです!」木嶋は、らんに答えたのだ。
麻美が、
「木嶋君に、何回か…《はるかさんと別れなさい。》…警告しているのですが…本人が理解してくれない!」らんに嘆いていた。
麻美が、嘆くのも無理はない。
木嶋も、頑なに、警告を無視している。
「今の自分に、はるかさんは必要です。」麻美の反論に、いつも、そう答えているのだ。
富高さんは、
「木嶋君と、はるかさんは、お似合いのカップルだと感じています。」らんに話すのであった。
らんは、
「はるかさん、私より、かわいいの?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「かわいいと思います。」らんに即答した。
「そんなに、かわいいなら、一度、クラブ『U』に連れてくればいいのに…」らんは、木嶋、富高さん、麻美に伝えたのだ。
富高さんは、
「木嶋君、はるかさん、今日は、来ないよね?」木嶋に問いかけたのだ。
木嶋は、
「クラブ『H』は、暇みたいなので、時間がカットになれば来る可能性があります。確率は、50/50ですが…」富高さんに話したのだ。
らんは、
「何だか…会いたくなって来ちゃった!クラブ『U』に寄るように伝えて下さい!」木嶋にお願いしていた。
木嶋は、Gパンのポケット携帯を取り出した。
受信メールボックスから、はるかの受信メールを選択した。
「はるかさん、時間がカットになったら、クラブ『U』にお越し下さい!」木嶋は、メールを送信した。
「あとは、返信メール待ちです。」らんに話したのだ!
らんは、
「凄く、楽しみだね!」
木嶋の心の中に、期待と不安が交錯していた。