第136話
小室さんは、
「仕事が、無事に終わればいいけどな!」木嶋に、不安を煽っていた。
木嶋も、
「自分を、不安にさせないで…。」小室さんに伝えた。
「もしも…の場合は、どうすればいいんだ?」小室さんは、木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「夕方、5時に上がりますので、自分が、小室さんの元に、確認に行きますよ。」小室さんに話したのだ。
小室さんは、
「判りました。」木嶋に敬礼をしていた。
木嶋も、敬礼で返したのであった。
小室さんの現場から、木嶋の現場までは、歩いていても、5分と掛からない距離である。
昼休みが終わりのチャイムが、
「キーン、コーン、カーン、コーン」鳴っている。
木嶋も、気を取り直し、
「あと、半日、頑張ろう!」自問自答していた。
三谷さんが、悩んだ顔をしながら、木嶋の元に歩いてきた。
「木嶋、今日、5時で帰るのか?」木嶋に問い掛けていた。
木嶋は、
「はい。予定があるので帰ります。溝越さんにも、前から話してありますよ。何か…あったのですか?」三谷さんに問いかけていた。
三谷さんは、
「いや〜、自分も、予定が出来て、残業が出来なくなってしまったんだ。」木嶋に答えたのだ。
木嶋は、困惑な表情を見せながら、
「自分に、言われても、どうすることも、出来ません。溝越さんに話して下さい。」三谷さんに伝えたのだ。
「判った。」木嶋に話し、
三谷さんは、溝越さんの元に、歩いて行く。
木嶋と三谷さんは、《同じエリア》で、仕事をしているため、2人が、同じ日に、予定を入れることは、ライン構成上【タブー】である。
木嶋は、
「何か?嫌な予感がするのは、気のせいか!」妙な、胸騒ぎがしていた。
三谷さんが、溝越さんと一緒に、木嶋の作業エリアに、歩いてきたのだ。
溝越さんは、
「木嶋、三谷が、どうしても、予定があるから帰りたいと言うが…予定を変えることは出来ないのか?」木嶋に問い掛けていた。
木嶋が、予定がある時に限って、三谷さんも、予定を入れるのである。
そのたびに、譲歩を余儀なくされている。
今回は、木嶋も、強気に出た。
「自分一人なら、いいですが…富高さんも、絡んでいるので難しいと思います。」溝越さんに伝えたのだ。
溝越さんも、驚いた表情を見せ、
「富高も、一緒なら予定を変えるのは、マズイよ。」木嶋に話したのだ。
三谷さんは、
「何だ…そうだったの?最初から言ってよ!」木嶋に八つ当たりしていた。
木嶋も、
「三谷さんこそ、自分に失礼ですよ!最初から予定があるのを知っていたのではないですか?」
溝越さんも、
「三谷も、今日になって残業が出来ませんと言う方が悪い。木嶋は、いつも、予定の変更しているから、ここは、先輩なんだから木嶋の顔を立てて上げて!」三谷さんに対して、強い口調で話していた。
三谷さんも、観念したのか?
「判りました。今日は、残業をやって行きます。お騒がせして申し訳ない。」溝越さんと木嶋に、謝罪をしたのであった。
木嶋は、
「自分の、嫌な予感が的中したよ!」心の中で頷いていた。
仕事終わりのチャイムが、
「キーン、コーン、カーン、コーン」鳴り響く。
木嶋は、自分の作業エリアの後片付けをしながら、
「三谷さん、あとを宜しくお願いします。」三谷さんに頭を下げていくのであった。
《心なし…か?》
三谷さんの表情が、少し暗くなっていた。
「三谷さんも、帰りたいのは判るが、たまには、譲ってくれないと…!」悪戯ぽっく、話していた。
木嶋は、三谷さんの虚ろな目を見た。
「月曜日、会社に来るといいのだが…!」そう思いながら、小室さんの元に、再び出向いたのだ。
「小室さん、行くことが出来ますか?」小室さんに尋ねた。
「木嶋、悪いな!トラブルがあって行けそうにない!申し訳ない。また、今度、誘って下さい!」小室さんは、木嶋に頭を下げたのだ。
木嶋も、富高さんとの約束もあるので、
「分かりました。」納得が行かない顔をしながら、小室さんの現場から離れて行ったのだ。