第129話
木嶋は、富高さんの誕生日のお祝いを、麻美さんのクラブ『U』で、はるかより開催することが決まり、【ホッ…と】一安心していた。
心の中では、
「はるかに、話すべきなのだろうか?」葛藤が続いていた。
「今、はるかに話したら、全ての計画が、ぶっ飛んでしまう!麻美さんにも、迷惑が掛かる。今回は、黙っていた方が良さそう!」木嶋は、迷いながらも、結論を出したのだ。
しかしながら、
「そう言えば、最近、はるかさんと話しもしていない!たまには、電話でもしてみよう。」
木嶋は、珍しく、はるかに電話をしたのだ。
「プルッ、プルー、プルー」呼び出し音が鳴っていた。
「何か…やっているのだろうか?一度、電話を切って、また、かけ直せばいい。」木嶋は、電話を切りながらも不安を募っていた。
「家に帰って、久しぶりにゲームでもやろう。」
マンガ喫茶の前に立っていた木嶋は、家に帰宅して行く。
家の中に入り、ゲームの端子を、テレビに繋ぎ、野球のゲームに没頭していた。
一年前は、日本と韓国の共催で、《サッカーWカップ》があり、世間は、サッカー熱が再燃していた。
木嶋は、サッカーには興味がない。小さい時から、地元に、プロ野球チームがあったので、時間が空けば、近所の仲間と草野球に明け暮れていた。
そのプロ野球チームは、10年以上も前に、本拠地を移転してしまったのだ。
木嶋の携帯が、
「ピローン、ピローン、ピローン」鳴っていた。
この着信音は、はるかであった。
木嶋は、電話に出た。
「もしもし、木嶋です。」
「私、はるかです。お久しぶりです。先ほどは、電話に出れずに申し訳ありませんでした。今、何をしているのですか?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「はるかさんも、忙しいのですから仕方ないですよ。今は、家で野球のゲームをしています。」はるかに答えていた。
「野球のゲームですか?木嶋さん、野球が好きですよね!」
木嶋は、
「えぇ〜好きですよ。野球と言うより、良く草野球をやっていたこともありますよ。」はるかに伝えたのだ。
「そうなんですか!初めて聞いた気がします。今日は、どうしたのですか?」はるかは、木嶋に尋ねたのだ。
木嶋は、
「はるかさんの成人式のことで電話をしたのですよ。」
「成人式は、友達と行きますよ!前にも、木嶋さんに話していますよ。」はるかは、木嶋に答えたのだ。
「そうだったね。ゴメンね。実は、富高さんの誕生日のお祝いを、今月末に麻美さんのクラブ『U』でやることになったんだ。」木嶋は、はるかに話したのだ。
「本当ですか?木嶋さん、教えて戴きありがとうございます。」はるかは、木嶋にお礼を述べていた。
はるかは、
「木嶋さん、麻美さんのクラブ『U』に行かれたら、どのようなことをしたのか教えて下さい。」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「やっぱり興味があるの?」はるかに問い掛けていた。
「麻美さんと、私ではお祝いの仕方は違いますが、興味はありますよ。」木嶋の問い掛けに対して答えていた。
「判りました。クラブ『U』のことは、メールを送りますので、それを参照して下さい。」はるかに伝えた。
はるかは、
「判りました。メールを待ってますね。」木嶋との会話を終えて電話を切ったのだ。
「はるかに話さないと決めていたのに、話してしまった。」あとで、木嶋は後悔していた。
月日は流れ行き、麻美さんのクラブ『U』に行く日が近くなってきた。
「そろそろ、麻美さんと金曜日の待ち合わせ場所を決めないと行けないな!」
木嶋は、思い立って、携帯を右手に取り、
「麻美さん、何時に待ち合わせしますか?」メールを麻美に送信したのだ。
「待ち合わせ場所などが決まれば、富高さんに話せばいいかな!」そう感じていたのだ。