第125話
「木嶋君、宜しくね!」富高さんは、木嶋にお願いをしていた。
木嶋は、
「了解しました。」富高さんに、右手で敬礼のサインを出し、
「フフフッ」はるかの笑いを誘っていた。
富高さんは、
「チョット…トイレに…。」
今、座っていた座席を立ち、木嶋と、はるかに伝えてながら、歩いて行った。
はるかは、
「私は、何だか…期待と不安が交錯していますよ。」木嶋に話していたのだ。
木嶋は、
「何が不安なの!」はるかに問いかけてみた。
「富高さんの誕生日は…建国記念日ですよね!バレンタインデーが、その3日後です。クラブ『H』でも、イベントがありますが、誘って見てもいいですか?もし、イベントに来れないなら一緒に、《プレゼント》を渡した方がいいですかね?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「クラブ『H』のイベントに誘って見たらどうですか!富高さんのことだから、イベントに来ないと思います。一緒に渡す確率が高いでしょう!」はるかに答えたのだ。
はるかは、
「分かりました。イベントのことは、話しをして見ます。あとに、ホワイトデーもあるので…何か…《プレゼント》してくれるのかな…と。期待もしているのです。」木嶋に聞いていた。
「ホワイトデーね…。はるかさんは、その日まで、クラブ『H』でバイトしているのかな?本当は、彼氏がいて、《プレゼント》を貰うでしょ!」木嶋は、はるかに尋ねていた。
はるかは、
「それを聞かれると…確実に、クラブ『H』にいると…断言出来ません。彼氏は、いませんよ!また、誕生日やホワイトデーに《プレゼント》してくれる人は、木嶋さん一人ですよ。」木嶋に答えたのだ。
「本当かな?《誕生日プレゼント》をたくさん、貰っているイメージがあるよ。4月になれば就職するのだから、いつまでも、クラブ『H』でバイトをしている場合じゃあないよね!」
はるかは、
「本音を言えば、クラブ『H』に、名前を残して置きたい。時間があるときに、バイトに来れるので…。」木嶋に話すのであった。
木嶋は、いつも、真っ向から反対をしているのだ。
【就職するなら、辞めた方がいいよ。】
はるかに、言い聞かせていた。
ただ、一抹の不安が、頭を掠めていく。
【はるかが、就職すればバイトとは違う。果たして、会社の給料だけで、やっていけるのだろうか?それに、年齢も若いし、ブランド品に目が慣れている。単価の安い商品には、振り向きそうもない。】
木嶋の心では、そう感じていた。
富高さんが、トイレから戻ってきた。
「木嶋君、お待たせ…。」木嶋と、はるかに話したのだ。
はるかは、タオルを富高さんに渡したのだ。
富高さんは、タオルを手に取り、顔を拭いていた。
「木嶋君、何か深刻そうな顔をして、どうしたの?」富高さんは、木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「はるかさんが、就職したら、どうなるのかな?…と。不安が過ぎるんだ。」富高さんと、はるかに話したのだ。
はるかは、
「私は、木嶋さんと、いつまでも一緒にいたいと思っていますよ!」木嶋に伝えたのだ。
木嶋は、
「それが不安なんだ。麻美さんにも、言われたことだが、《木嶋君とはるかさんは、クラブ『H』のお客さんと女性スタッフの関係。辞めたら、それで終わりだよ。》とね。」はるかに話したのだ。
「麻美さんは、麻美であって…私は、私ですから一緒にしないで下さい。」はるかは、木嶋に答えたのだ。
富高さんは、
「木嶋君、はるかさんの言う通りだよ。麻美さんの考え方と、はるかさんの考え方は違うよ。一緒にいたいと話しているから大丈夫だよ。」
木嶋も、富高さんの言葉に安心したのか、
「それもそうだね。」木嶋の表情に、笑顔が戻ったのだ。
はるかの心の中には、一つの結論が隠されていた。これが、波乱の幕開けになるとは、木嶋と富高さんも、気が付かずにいたのである。